中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)
2018.03.03
スキルアップ
第30回 「ビジネス中国語の口語 ― 中国人が話す標準語を知ること」
ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生が執筆します。すぐに使えるフレーズがたくさん詰まっていますので、みなさまのお役に立つこと間違いなしです。今回は、「ビジネス中国語の口語 ― 中国人が話す標準語を知ること」です。どうぞお楽しみください。
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「知己知彼,百战不殆(彼を知り、己を知れば百戦殆うからず)」という日本人にもよく知られている孫子の教えがあります。
語学の勉強も同じです。相手の中国人がどのような内容の話、どのレベルの話をするのか、事前に把握しておけば、対応する準備ができます。その時、出身地を知るのも大事です。
日本語にも各地方の方言がありますが、ビジネスに使われる標準語として相手がわからないほど訛るものはほとんどないと思います。ですが、中国の場合は違います。
「普通话(標準語)」といっても、その定義を見ればわかるように「以北京语音为标准音,以北方话(官话)为基础方言,以典范的现代白话文著作为语法规范的现代标准汉语。(現代標準中国語とは、北京語の発音を標準の発音とし、北方話(標準語)を基礎に、現代の話し言葉で作った著作を文法のルールとしています)」、定義そのものの許容範囲が広いです。
まず、北方と南方の分け方はあいまいです。揚子江を境に北方と南方を分ける説もあれば、秦嶺、淮河(わいが)を境にする説もあります。北方と言っても、甘粛省、山西省、陝西省、遼寧省、吉林省、黒竜江省、北京、天津、山東省、内モンゴルなど地域が広く、それぞれ、かなり発音と使う言葉が違います。が、北方の人々は、自分たちが標準語を話していると自負し、標準語を特に勉強することはありません。また、南方の小学校では一応標準語を習いますが、地方の訛りが強く残って、各地の人々が話している標準語は実に多種多様で、分かりにくいものです。
周知のように、北京話には「r」の発音があり、使う頻度が高いだけではなく、特にルールといったものがないので、中国人でも、南の人たちには実に模倣できないものです。南方では、湖南省の人は「湖南hunanをfulan」と発音し、上海あたりは「王wangと黄huang」を区別できないなど、北方の人にはわからない南方の人たちが話す標準語はたくさんあります。
このように、中国人同士でも推測しながら話を進めるケースが多い中、聞きなれない日本人だと、知っているはずの言葉も聴き取れなくなり、聴き取れなければ、もちろん返事もできなくなります。さらに、「口头禅、重复、颠三倒四(口癖、繰り返し、言葉を前後したりすること)」を加え、どこで、文を切ればいいのか、どの部分とどの部分が関わっているのか、非常に判断しにくくなります。
そこで、「熟能生巧(なれればできる)」、各地方の人々の話す言葉をたくさん聞くことによって、大まかな癖を把握すれば、相手が普通語を話している以上、推測することができます。
普段から、インタビューやアナウンサー以外の解説番組などの音声を積極的に聞くことなどは効果的でしょう。
自分が覚えたり話すことは必要がありませんが、どこの地域のどのような特徴なのか、大体わかれば、慌てることなく対応することができるでしょう。もしかすると、コミュニケーションによい話題の一つになるかもしれません。中国人同士でもよく「我的普通话南腔北调的,别介意啊。(訛りがつよいですが、大目にみてください。)」と一種の謙遜として会話を進めますので、ぜひ、恐れずにたくさん聞き、中国語の多様性を楽しみましょう。
次回は、自身の角度から口語をレベルアップする勉強法について考えたいと思います。ご期待下さい。
●今月の中国語新語:
爆米花电影:ポップコーンのように、見た目はいいですが、栄養価値がなく、見てすぐ忘れてしまう映画のことをいい、お笑い系の時間潰しのための映画はポップコーン映画といいます。
例:最近出的大部分电影都是些爆米花电影。(最近上映した映画のほとんどがポップコーン映画だ。)
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張 意意
ビジネスコンサルタント。中国北京外国語学院卒業。証券会社を経て、現在、コンサルティング会社経営。現役通訳者、翻訳者としても活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!
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