中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)
2020.11.06
スキルアップ
第62回 「中秋の名月 ー 最もロマンチックな季節」
ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生に執筆していただいています。どうぞお楽しみください。
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「月」をテーマにする作品は、唐の李白の有名な「床前明月光,疑是地上霜。举头望明月,低头思故乡。」をはじめ、歴代詩人が残した名作が数えきれないほどあります。古代の中国人は月の満ち欠けを別れと再会と重ね、遠く離れても、同じ月を見ていることで、喜びと悲しみを月に向かって詠っていました。
旧暦の八月十五日は「中秋の名月」、中国では旧暦の新年である春節に次ぐ重要で伝統的な祝日です。「中秋」か「仲秋」と書き、八月十五日は秋の真ん中にあるので「中秋」、あるいは、秋の二番目の月だから「仲秋」と、どちらも使われています。中秋の時期には空高く雲薄く、月が一段と明るく見えるので、この大きくて丸い月を「合家团圆(家族団らん)」に例え、このひと時をとても大事にしてきました。中秋節は月を祭る儀式から始まり、北京の月壇公園は月を祭るために造ったものです。今では、人々はバルコニーや中庭に宴を設け、家族揃ってごちそうを食べたり飲んだり、月を眺めて歓談したり楽しく過ごしています。
中秋は稲刈りの時期でもあり、土地の神様に豊作を報告し、感謝を込めてとれたての食材をいただきます。食べ物には月を象徴する「月餅」は欠かせません。月餅は唐の時代から作られたと言われています。宋代蘇東坡の詩にも「小饼如嚼月,中有酥和饴(月餅は月を食べているよう、具には油と飴が入っている)」と月餅のことが書かれています。月餅は地方によって材料や形、具も違います。北京の月餅は、「自来紅」「自来白」が有名で、小さな饅頭の形をし、皮がやや硬め、具には氷砂糖、ドライフルーツ、ナッツなどがぎっしり詰まっています。
北京では月餅を食べるほかに、「兎児爺(兎の顔で、人の体をした人形)」を飾ります。昔の人々は「兎児爺」を祭ったそうです。しかし今では特に祭る儀式などがなく、この時期に売られている粘土で作られたおもちゃを飾るだけとなっています。人形は立っているもの、座っているもの、演劇中の役者風に着飾る武将姿のもの、ライオンなどの猛獣、あるいは鶴やクジャクに乗っているものなどさまざまです。伝統工芸の無形文化財にもなっています。
また、中秋の宴では、詩を作ることも欠かせませんでした。古くから残された月や中秋を詠う詩から古代中国人の情け深さがわかります。ぜひこれを機に、名文を二三覚えましょう。
《望月怀远》(唐·张九龄)
海上生明月,天涯共此时。情人怨遥夜,竟夕起相思。
灭烛怜光满,披衣觉露滋。不堪盈手赠,还寝梦佳期。
《中秋月》(宋·苏轼)
暮云收尽溢清寒,银汉无声转玉盘,此生此夜不长好,明月明年何处看。
《十五夜望月》(唐·王建)
中庭地白树栖鸦,冷露无声湿桂花。今夜月明人尽望,不知秋思落谁家。
名文に共感し、たくさん覚えれば、語学力も上達するに違いありません。
では、次回は、新学期の始まりに合わせ、「読解」ついてお話したいと思います。ご期待ください。
●今月の中国語新語:
种草: 网络流行语,表示分享推荐某一商品的优秀质量,从而引发他人的兴趣和购买欲。
ネット用語で、商品の良さをアピールし、他人に興味を持たせ、買わせること。
例:我们新产品的营销策略是全渠道线上种草。
すべての販売ルートで商品の良さをアピールし、消費者の興味を引き出すことを新製品のマーケティング戦略とする。
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張 意意
ビジネスコンサルタント。中国北京外国語学院卒業。証券会社を経て、現在、コンサルティング会社経営。現役通訳者、翻訳者としても活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!
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