中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)
2021.09.04
スキルアップ
第72回 「評書」
ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生に執筆していただいています。どうぞお楽しみください。
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私が子供の頃、インターネットはもちろんのこと、テレビもありませんでした。娯楽メディアと言えば、ラジオが一番身近だったのです。お昼ご飯を食べながら、ラジオから流れてくる「評書」を聴いていたことは、いまでも忘れられない楽しい一時でした。
評書は日本の「落語」に似ていて、一人の語り手が何役も演じながらストーリーをすすめる芸能です。その巧みな言い回しにより、登場人物の性格、出身、特徴、容貌までが生き生きと表現されます。人々の動き、心理、人間関係や戦う場面などが、テンポのよい強弱や抑揚のついた噺で展開され、迫力満点です。映画やドラマのように、演じる人の容姿に制限されることもなく、聞き手の想像力で広大な世界が広がります。聞くにつれてストーリーに吸い込まれ、泣いたり笑ったり、時には怖くて震えたりもして、言葉のパワーそのものを感じさせられます。また、いつもクライマックスに差し掛かったところで、「欲知后事如何,且听下回分解(さてと、この後どうなったのでしょうか、次回までお待ちください)」と終わってしまうのです。続きがどうなったのか、知りたくてたまらない気持ちで、いままで聞いた内容をイメージして、繰り返し自分なりに続きを推測したり想像したりするのが、文学を好きになったきっかけだったかもしれません。
好きな語り手はハスキーな声が特徴の単田芳さんと女性の評書師劉蘭芳さんです。二人とも絶妙な語り方で、ある時はゆっくり、またある時は早口で、特に戦場のシーンを語る時は、馬が走る様子や矢が飛ぶ様子が目の前に繰り広げられているように臨場感が溢れており、ドラマを見るよりも痛快です。また、「白眉大侠」、「三侠剣」、「岳飛伝」、「楊家将」などの名作は、中国語を聞く練習や話す練習にもなり、さらに歴史の知識を身につけるのに絶好の教材となります。評書を聞けばストーリーだけではなく、中国人の生き方や考え方、また中国語の美しさと迫力が感じられると思います。
言葉の芸術としての素晴らしさはもちろんのこと、古代の英雄に感服させられる素晴らしい作品がほとんどなので、私はいまでも時々聞き直しています。
ちなみに、「我听评书网」ではAPPなしで、無料で聞けますので、お時間ありましたら、ぜひ、皆さんもトライしてみてください。夢中になること間違いありません。
では、次回は、「古琴の名曲」をご紹介したいと思います。ご期待ください。
●今月の中国語新語:
Z世代:也叫做“网生代”、“互联网世代”、“二次元世代”。指1995至2020年前后出生的人们,他们出生在网络信息高速发展时代,受数字信息技术、智能手机产品的影响比较大。
Z世代:「ネット時代生まれ」「インターネット世代」「二次元世代」とも呼ばれています。彼らは1995年から2010年前後、インターネットが急速に普及した情報時代に生まれ、デジタル情報技術やスマートフォンに大きく影響されています。
例:
Z世代正在成为消费主力。
Z世代が消費の主力となってきています。
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張 意意
ビジネスコンサルタント。中国北京外国語学院卒業。証券会社を経て、現在、コンサルティング会社経営。現役通訳者、翻訳者としても活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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