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中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)

2023.12.02

スキルアップ

第99回 「私が愛読する一冊(その3)」

第99回 「私が愛読する一冊(その3)」

ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生に執筆していただいています。どうぞお楽しみください。
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今回は20年にわたり圧倒的に人気だった一冊、現代作家の余華氏の「活着(活きる)」をご紹介します。

活着」は1992年の発表後、国内外で高く評価され、数多くの賞を受賞してきました。また94年にチャン・イーモウ監督によって映画化され、グォ・ヨウ、コン・リーが主演になった映画もまた、日本を含む世界各地で上映、絶賛されました。

先日、帰省した時、ふらりと本屋に入ったら、いまだに、店頭の一番目立つところに置かれてあり、店員にすすめられました。

作家の余華氏はこの本の英訳本の序に次のように書きました。「93年版の中国語版の序にも同じことを書きましたが、実はアメリカの民謡『オールド・ブラック・ジョー』を聞いて、ブラック・ジョーの苦しい生涯、友人や家族に先に立たれても、この世を愛し、文句一つなく生き続ける話に深く心打たれ、この小説『活着』を書くことに決めました」。

活着」は戦乱から大革命まで、ある中国農民の一生を描いています。主人公は自慢できそうなことは何一つなさそうな人生を送り、常に貧困と死別に直面しながらも小さな喜びを掴み、ぎりぎりのところで喜怒哀楽の日々を送ってきました。荒野に生きる草のように焼かれても焼かれても、春風に吹かれて青々と生き延びる根強い生命力を讃え、生きることそのものが生きる意味だと、生命の尊さを嚙みしめるように伝えてくれました。

農夫はブラック・ジョーと国も時代も違い、使う言語も違いますが、生きるという原点からこころとこころが通じあい、時空と言語を越えて、世界中の人々を感動させています。

中国語を勉強している皆さんにはぜひ読んでいただきたいです。言葉の勉強だけではなく、中国人の「好死不如赖活着(潔く死ぬより、生きることが大事)」の思想にもふれることができるでしょう。

次回は引き続き「私が愛読する一冊」をご紹介したいと思います。ご期待ください。


今月の中国語新語:
配享太庙:指皇后、同姓宗室、异姓功臣等得到皇帝批准,死后可以将牌位供奉在太庙,接受后人的祭拜。网络中,用来表示对某个人在某方面出色表现的极高赞誉。

配享太廟:古代、皇后や同族、苗字が違っても功を奏した者などが皇帝の許可を得て、死後、その位牌を太廟に供えることが出来ることを言いますが、ネット用語で、ある分野や特定なことにおいて特別に優れている人を讃える時に使われています。

例:
这孩子勇敢地道出了大家的心声,赢得了广大网友的称赞,人们纷纷称他配享太庙之名。

この子はみんなの思うことを声に出し、ネットで大きな反響を得られたため、「配享太庙」に相応しいと褒められました。

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張 意意
ビジネスコンサルタント。中国北京外国語学院卒業。証券会社を経て、現在、コンサルティング会社経営。現役通訳者、翻訳者としても活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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