ISSライブラリー ~講師が贈る今月の一冊~
2016.10.02
スキルアップ
第6回 : 西山耕司先生(英語翻訳)
先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー。
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。
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今月は、英語翻訳者養成コース講師、西山耕司先生ご紹介の「子供たちよ、英語の前に国語を勉強せよ。」(プレジデントFamily、2013年7月号、内田樹氏寄稿)、「2005年スタンフォード大学での卒業生に送るスピーチ」(スティーブ・ジョブズ)です。
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英語翻訳コース講師の西山です。書籍ではないのですが大好きな読み物が2点あります。
プレジデントFamily、2013年7月号に内田樹氏が寄せた「子供たちよ、英語の前に国語を勉強せよ。」は、学習機能を充実させて加速度的に性能が向上している人工知能による通訳や翻訳の本格的な実用がいよいよ現実のものとして見えてきた今になって読み返すと、母国語の大事さ、それを踏まえた上で外国語を学ぶということの意義を見つめ直す良いきっかけになると思います。インターネット上で簡単に閲覧できますので一読をお奨めします。私の友人のタクシー運転手はみな完全自動運転システムの実用に対して否定的な見方をしています。無理もありませんが、悲しい事故が無くなり世の中が便利になるのは良いことです。同じように、病人が少なくなると困ると思っているお医者さんも中にはいるかもしれませんが、医療技術や医薬品の更なる進歩は大いに歓迎されるべきでしょう。自分たちはどうでしょうか?世界中の誰もが母国語のみで自分の専門分野を掘り下げ、他のどの国の人たちとももっと簡単に知識を分け合えて協力できるようになればこれほどすばらしくまた公平な世の中はないと私は思います。そんな社会の実現の為にこんな私でもその知識や経験が何らかの形で役立てばうれしいです。
その後? 選り好みしなければ他になにか仕事はあるものです。職業に貴賎無し。なんでもやる覚悟があれば別に怖くありません。
話を戻します。他国やその文化にあこがれる人はいつの時代でもどんな環境下でもやはり熱心に外国語学習を続けるはずです。損得勘定抜きで好きなことをとにかく一生懸命続ければどこかできっと(時には思いもよらぬ形で)「ああ、続けていて本当によかった」と思える瞬間が来るはずです。それを予感させてくれるのが有名なスティーブ・ジョブズ氏の2005年スタンフォード大学での卒業生に送るスピーチです。文字に起こしたものを繰り返し音読すると勇気がわきます。英語スピーキングのトレーニングもなりますのでこちらもお奨めです。
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西山 耕司(にしやま こうじ)
メーカーでの営業職を経て、現在は社内通訳・翻訳者として外資系企業に勤務。2009年からは、フリーランスとしても稼働開始。通訳・翻訳者として豊富なキャリアを持つ。ISSインスティテュートのレギュラーコースでは「総合翻訳・本科」「ビジネス英訳・本科」など、上級レベルのクラスを担当し、プロ翻訳者の育成に力を注いでいる。
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