1. ホーム
  2. コラム
  3. 新着コラム
  4. 第20回:人生100年時代にキャリアを続け、自律して生きる

通訳キャリア33年の 今とこれから 〜英語の強み〜

2025.08.01

通訳

第20回:人生100年時代にキャリアを続け、自律して生きる

皆様こんにちは。東北地方も梅雨明け宣言をうけ、この先はとても暑い夏が続くということです。
これを書いている今、全国の小・中学校は夏休みの初日でしょうか。親御さんたちは大変な長期休暇がスタート!私が子育てをしていたころは、ここまで暑くなかったので、「お友達と外で遊んできなさい」ということができたのですが、今は熱中症アラートも出るほど暑くなるので、外で夕方まで遊ぶこと自体が危険な行為となっているようです。このまま地球温暖化が続くと私たち人類は生活できるのか?という懸念が強くなると同時に、医療が進歩し、健康に対する認識が高まり、人生100年は生きる時代と言われています。

今月のタイトルは「人生100年時代にキャリアを続け、自律して生きる」ということでコラムを書いていきます。人生100年時代の提唱は、London School of Economicsの教授であるリンダ・グラットン氏とアンドリュー・スコット氏の共著「ライフシフト」が上梓されてからブームになりました。私はこの本がブームになる数年前から、リンダ氏のポッドキャストやYouTubeを視聴していたので、やっと話題になってくれたと思いました。英語で情報を得る効能ですね!!

話は逸れますが、私が20代前半まだ神戸にいた時の話です。有名な占い師がいたので、人生を占ってもらいました。その人は「貴女は96歳まで生きてずっと仕事をして、朝、コロッと死にます」と言われました。40年近く前のことなので、96歳まで生きるということがあり得ないと思いましたし、ましてやそんな老人が仕事をしているなど全く信じられなくて、友達との笑いのネタになったのです。そしてそんな老齢まで仕事している私って・・・とショックも受けました(笑)。

その後アメリカへ留学し、通訳のキャリアを構築し、還暦を数年過ぎました。日本女性の平均寿命は2024年時点で87.14歳で世界最高、男性は81.09歳です。私の親世代の女性は今年90歳を超える方が多く、40年前の占いも全く当たっていないとは言えないなと感じています。計算すると、定年が65歳として、その後の人生が女性では22年、男性でも16年続きます。言い換えると無収入、毎日日曜の人生がそんなに長く続き、生き続けなくてはいけないということです。愚息たちも「今は、死ぬリスクよりも生きるリスクを考えておいてほしい」と言います。
私が90歳になるころには、100歳まで生きるのは普通のこととなっているかも知れません。特にこれを読んでいる若い読者の皆さんは、100歳までの生計を考える必要があると思います。

リンダ教授も、最終学校を卒業した時の職業やスキルは、その後の人生のあるところまでしか有効ではなく常に学び新しいスキルを習得し、進化し続ける必要が出てくる、生涯学習が必須になるでしょうと言われています。100年生きるとするとキャリアも2回3回変えないと、世の中の需要についていけなくなり、収入も先細りになると。ざっと試算すると、65歳で経済活動を一切やめて年金だけの収入で生活をする人生は、100歳まで生きることを前提にすると政府の推奨「2,000万円」の老後資金では全く足りないと思います。計算の前提が80代前半で人生を終えることですから。

私たちフリーランス通訳には定年がないので、仕事の依頼が来なくなるまで「ぼちぼち」ながらも続けることができます。ただ、依頼をいただくためには、生涯学習として毎回書いている「自己研鑽と勉強」が必須だと思います。通訳のキャリアをベースとして、新しい分野に挑み進化し続けること。ある意味、2回3回とキャリアを変えるということでしょう。

では、フリーランス通訳以外の職はどうなのか?
やはり同じく「本職以外にも活路を見出す」ことだと思います。長い人生の中で、世の中の流れと潮目を感じて、自分の軸足と仕事の仕方を適応させていく才覚と努力が必要でしょう。例えば会社員の場合、途中での退職勧告などを回避したとして、定年は60歳または65歳。その時に急に違う道を見つけ、シームレスに第二のキャリアを邁進できるか?そういった人は多くはありません。
その時に、例えば英語が好きで研鑽を積んでいれば、そこに繋がる道も見えてくるのではないでしょうか?実際、メーカの社員の方が、英語に専念したいからと50歳で通訳の道に転向した方もいます。
また企業の監査部に勤務していた方は、その知識(ISOなど)を利用し、英語も勉強を続けて、ISOのコーディネーターとして、海外の認証機関と日本企業の間をつなぐ仕事を60代で始めました。

自分のキャリアの中での「潮時」を見極め、経済的な計算もして、ある時点から段階を踏んで第二のキャリアへと変わる、これをそれぞれの状況に合わせた範囲や規模でやっていくことは、この先、長い高齢期の人生を乗り切るために大切だと考えます。そのためには、過去の栄光や地位にこだわらないこと、自分のコンフォートゾーンを出る勇気を持つこと、欲張らないこと、自身の健康状態をよく見極めて、長く(細く)仕事を楽しむことが大切でもあります。

人生100年になると、キャリアのみならず、家族の形態も多様化するでしょう。私が80代になる頃には、「80代マッチングアプリ・共に生きよう」なんてものも出てきて、結婚(制度的なものに限りません)も複数回するのが珍しくなくなるかもしれません。

これを読んで、え!!!!そんな、まぁ、、、常識で考えるとない!と思われるかもしれません。
でもこの先は、世界秩序も含めてこれまでの常識が覆され、全く新しい生き方が出てくるでしょう。
私は今還暦を超えて、高齢者の域に入る準備をしています。
ですから余計に、未来や働き方や家族の在り方がどのようなものであっても、固定観念を持たないようにと思っています。昭和に育った私の世代には、全く理解のできない社会になるかもしれないと常々思っていて、そうなった時にも、柔軟性をもって適応していきたいと考えます。
そして若い人の意見に耳を傾け学びたいと思います。若い方の見方や価値観はとても面白く、はっとすることが多いです。

私は通訳なので、英語を中心に書いていますが、英語に関係ない仕事や人生にも同じことが言えます。大学などを卒業し、仕事をし、定年したら年金で暮らし、適度なところで人生を終える、という人生モデルはこの先通用しなくなるでしょう。
それは経済的な側面、特に仕事の在り方を変えることでしょう。
その中でさっと方向性を変えることのできる人、虚栄心やプライドを必要以上に持たない人は、その先も普通に生きていくことが容易いと思うのです。
今月のコラムは私自身へのメッセージでもあります。

いつまでも今の状態とキャリアが続くと思ってはいけない、世の中が私を必要としなくなる日がいつか来るでしょう。その中で流れる水のように、世の中に合わせて自分も変えていかなくては、「幸せな人生100年」は送れない、ということです。
私の第二のキャリアは「物書き」になることです。それと日本の良書を英訳し、未発掘である欧米の良書を日本語に訳し、心温まる小説や元気になる著書を橋渡しする仕事をしたいと思っています。
それはまだ先の話で、今は精一杯通訳として、分かりやすく訳しクライアント様のお役に立つこと、会議での雰囲気を整えることに専念したいです。

第二のキャリアといっても、やはり今の自分のやっていることの延長上になることが多いと思います。
今は自分の仕事をしながら、数十年後を見据えて、自分の可能性を探ってみるのも面白いと思います。

皆さん、私が90歳になって「今日も元気だ、(私も英語も)まだ生きてます講座」というYouTubeを発信したら、チャンネル登録してくださいね!!!その時にまたお会いしましょう。

相田倫千


大学卒業後、米ニューヨーク州立大学、オレゴン州立大学大学院でジャーナリズム学び、帰国後、ISSインスティテュートに入学。現在はフリーランスの会議通訳・翻訳者として、IT、自動車、航空機、人工知能などのテクノロジー分野と特許など法律のエキスパートとして活躍中。

この記事をシェアしませんか?

背景画像
背景画像

CONTACT

通訳、会議・イベント運営、
翻訳、人材派遣/紹介、
法人向け通訳・翻訳研修などに関するご相談は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。
お見積りも無料で承ります。