中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)
2016.09.03
スキルアップ
第12回 「動詞に注目しましょう」
ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生が執筆します。すぐに使えるフレーズがたくさん詰まっていますので、みなさまのお役に立つこと間違いなしです。今回は、「動詞に注目しましょう」です。どうぞお楽しみください。
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今回は夏休みに帰省した時の話を綴りたいと思います。
旧暦の7月15日“鬼節”とも言う中元節(日本ではお盆)に、生まれ故郷の北京に帰省、故人を偲ぶ旅をしてきました。おしゃれな和洋レストランに変身した幼少期に住んでいた四合院を訪ね、お婆ちゃんとよく遊んでいた「后海※」を散策しました。湖畔のカフェに腰を下ろし、「后海」を眺めながら、何十年も前に、お婆ちゃんが話してくれた父親の子供の頃の話を思い出しました。
※「后海」北京中心部にある人工湖の一部
「父亲小时候,到了冬天常在后海滑冰。碰上好天气,滑冰的人、摆小摊卖东西的人、过路寻找自己喜爱什物的人、在湖边遛弯的人、晒太阳的人......三三两两。
一天,父亲和几个朋友沿着湖边倒滑的时候,一不小心撞倒了一个湖面上的小摊。父亲向小摊贩道歉,小摊贩要父亲赔偿,说着说着眼看围观看热闹的人越聚越多。终于“咔嚓”一声冰层破裂,所有围上来的人一齐掉入后海里,难分你我......」
(父親が子供の頃、冬になるとよくこの「后海」でアイススケートをしていました。天気がいい日に、厚く凍っていた湖でアイススケートをする人、露店で小物を売る人、掘り出しものを探す人、湖畔でぶらぶらする人、ぼーっと日向ぼっこする人などで賑わっていました。
ある日、父と友人が湖をバックスケーティングしていると、湖面にある露店にぶつかり、店主を怒らせました。謝る父を店主が説教し弁償を求めているうち、見物の人が集まり、とうとう氷がひびわれ、限界を超え、「ドボン」と全員が湖に落ちてしまいました。)
昔、周辺住民の日常の憩いの場だった「后海」は、今や、観光地となり、商売の熱気、雑踏のざわめきに大気汚染の異臭…。北京がグローバルな大都会になるにつれ、生活の全てが商業化され、持ち前のいいところまで犠牲になってしまったことは故人に告げ難く、寂しさが一杯です。
この話の中国語の下線部分は日本語には直訳できない、日本語では違う表現を使う部分です。
些細な動きを正確に表現するとき、日本語と中国語では言い回しが違い、いちいち対応していないので、実に難しいところです。国語辞典を調べれば、同じ「なく」でも、「泣く、哭く、鳴く、啼く」と違う当て字があります。「泣く」と「哭く」、「鳴く」と「啼く」は違います。日本語では、共用する場合があっても、中国語では全く違う言葉で、互換性のない違う動きを表しています。
●例:
婴儿在大哭。(子供がないています。――わぁわぁなく状態)
母亲在抽泣。(お母さんがないています。--しくしくなく状態)
炎热的夏日,阵阵蝉鸣令人难以入睡。(暑い夏、蝉のなき声で、なかなか眠ることが出来ない。)
两岸猿声啼不住,轻舟已过万重山。(両岸の猴のなき声が絶えず聞こえて、小舟はすでに幾つもの山を通り過ぎた。――李白の詩)
日本語の場合は漢字を使わないケースもあるので、中国語に訳すときは、より慎重に吟味する必要があり、決して単語の置き換えだけですませてはいけません。中国語で作文できることは、和文中訳の前提とも言えるでしょう。
作文力を身に付けるには動詞に気を配りながら文章を読むことが大事だと思います。動詞によって、文が生き生きと動きだし、イメージに立体感を醸し出すので、どれだけの動詞を自在に使うことができるかは、その人の語学レベルを反映します。
ビジネスコミュニケーションの授業では報告、連絡、相談などのビジネスでの必須用法だけではなく、マーケティングプロモーションなど、表現をより魅力的にする描写方法の練習もたくさん取り入れております。ぜひ、教室に一度足を運んでみてください。
●今月の中国語新語
「洪荒之力」(Hong Huang zhi Li):洪水のような巨大な力の事。
リオ五輪の水泳選手傅園慧さんが全力で泳いだ後、インタビューに答える時、自然な滑稽な表情を見せながら使ったことで一気に「大炎上」、街角で話題となりました。
・例文:
我用了洪荒之力啦。(すべての力を出し切った)
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張 意意
証券会社、コンサルティング会社で通訳・翻訳者として活動するとともに、アイ・エス・エス・インスティテュートで「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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●中国語ビジネスコミュニケーションコース●
コース案内動画はこちら
※張意意先生からのメッセージもありますので、ぜひご覧ください!
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