中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)
2021.04.03
スキルアップ
第67回 「ニュアンスをつかむ 2」
ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生に執筆していただいています。どうぞお楽しみください。
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今回も、中国語の難しいところを一緒にみてみようと思います。
英国の詩人シェリーの詩「西風の賦」に、つらい時を耐えて頑張れば、明るい未来は必ず来るとよく引用される名文があります。
“If Winter comes, can Spring be far behind?”
日本語訳は「冬来たりなば春遠からじ」。
英語に「if」、日本語に「なば」と仮定詞を使っているのに対し、中国語は
「冬天到了,春天还远吗?」
とあえて「如果、既然」を使っていません。
なぜなら、冬が過ぎれば、必然的に春になるので、形式より、論理的に成立するわけです。
同じような例文として、
「中秋节晚上要吃月饼。」(中秋の夜になると、月餅を食べる)
この場合も習慣なので、論理的に成立し、接続詞は不要です。
このように、中国語を理解するには、構文より、意味の前後関係、つまり中国人の物事を考えるロジックに沿って、その考え方を把握することが大事です。
ところが、次の例は接続詞によってニュアンスがだいぶ違い、接続詞がない場合は前後文、話の口調で判断しなければなりません。
「他不干,我干。」(彼がやらない。私がやる。)
文の間は「,」なので、2文ではなく、1文です。
すると、以下のケースが考えられます。
1) 假设关系:
(如果)他不干,(那么)我(来)干。
もし彼がやらないのならば、私がやる。
2)因果关系:
(因为)他不干,(所以)我(才)干。
彼がやらないので、私がやる。
3)转折关系:
他不干,(但是)我干。
彼はやらないけれども、私はやる。
4)让步关系:
(即使)他不干,我(也)干。
彼がやらなくても、私がやる。
この場合は、前後文で関連性をつかんで、言葉のトーンで状況をしっかり把握しないと、正確に訳すことができません。
ニュアンスを理解し、身につけるのに有効な練習法として、名作を大きな声で朗読することがあげられます。
朗読していくうちに、イメージができ、内部の関連性が見えてくるからです。
毎日朗読する習慣を身につけましょう。
では、次回はさらに「難解な文」についてお話したいと思います。ご期待ください。
●今月の中国語新語:
口嗨:网络词。嘴上说得天花乱坠,但是却不能履行承诺。吹牛、撩骚。
口嗨:ネット流行語。ほら吹き、大げさででたらめを言うこと。
例:
新上任的老板豪气逼人还口嗨,有点儿不靠谱。
新しいボスは強気でほら吹き、信頼できなさそうです。
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張 意意
ビジネスコンサルタント。中国北京外国語学院卒業。証券会社を経て、現在、コンサルティング会社経営。現役通訳者、翻訳者としても活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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