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中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)

2022.09.02

スキルアップ

第84回 「鼠が使われている言葉」

第84回 「鼠が使われている言葉」

ネイティブがよく使う自然な中国語表現を毎月テーマ毎にご紹介する「中国語表現コラム~更上一層楼(更に上へと)」。中国語ビジネスコミュニケーションコースご担当の張意意先生に執筆していただいています。どうぞお楽しみください。
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動物が使われている言葉というと、まず思い浮べる動物は十二支の動物ではないでしょうか。

十二支の動物の一番目は鼠。神様が十二支の動物の順番を決める時、自分の家に来る順で決めることにしたそうです。牛は自分の足が遅いことをよくわかっていたので、みんなより一足先に出かけて一番早く着きましたが、神様が門を開けて牛が足を上げる矢先に、牛の背中に途中でこっそりと乗った鼠が急に飛び出し、牛よりも一歩先に着くことができました。こうして鼠が一番となったそうです。鼠のずる賢いイメージもこれによって定着しました。

また、中国は農業国で、古くから鼠害に悩まされてきました。ネズミの住処は屋根裏か地下道など、汚くて暗い闇の中。こそこそと食料を盗み食い、家具をかじり、迷惑な行為ばかりをするので、負のイメージの言葉に使われている場合がほとんどです。

中国最古の詩篇『詩経』に「硕鼠硕鼠,无食我黍(ネズミやネズミ、穀物を食うな)」から始まる『硕鼠』という鼠に関する作品があります。
鼠が使われている言葉は百を超えるぐらい大量にあり、それらのほとんどが、嫌味や負の意味を持っています。

例えば、
鼠目寸光:鼠が遠いところが見えないことから、目先のことしか考えないことをいう
贼眉鼠眼:鼠の目が卑しいことから、卑怯な人のことをいう
鼠腹鸡肠:器の小さい人
胆小如鼠:鼠がすぐ逃げることから、臆病な人のことをいう
抱头鼠窜:鼠のように慌てて逃げる、狼狽した様子
鼠凭社贵:お寺に住み着いた鼠がお寺の威光を乱用してやりたい放題のことから、人の勢力を借りて無茶をする人のことをいう
过街老鼠:鼠が道を通るように、大衆に憎まれている人のこと
などなどあります。

ところが、鼠年だけは特別。その年の鼠は吉祥の象徴とされ、幸福をもたらしてくれることと信じられています。修飾語を付け、「瑞鼠」、「玉鼠」、「金鼠」、「福鼠」などと素晴らしい鼠を謳歌します。
このように、言葉は生きているもので、場が違うと使い方も違います。また、違う言語になると、同じ動物でもイメージが違ったりします。動物は私たちの生活と密接に関係しているので、動物が使われている言葉から、その言語を使う人々の生活実態を知ることができます。ぜひ、十二支にある他の動物が使われている言葉も調べてみてください。

次回は、「我が家の中華料理」についてご紹介したいと思います。ご期待ください。


今月の中国語新語:
社会性死亡:网络流行语。主要是指在大众面前出丑,或者在社交圈中做了很丢人的事情抬不起头,无法正常地进行社会交往。

社会性死亡:ネット用語。人前や社交グループで恥をかくことで、面子がなくなり、社会的立場がなくなることを言う。

例:
陌生人的偷拍、捏造,就能令一个无辜者“社会性死亡”,每个人都可能成为受害者。(正观新闻)

盗撮、捏造などによって、無実な人でも「社会性死亡」に追い込むことができる。すべての人が被害者になりうる。(正観新聞より)

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張 意意
ビジネスコンサルタント。中国北京外国語学院卒業。証券会社を経て、現在、コンサルティング会社経営。現役通訳者、翻訳者としても活躍中。アイ・エス・エス・インスティテュートでは「ビジネスコミュニケーションコース」を担当。企業や業界のニーズを把握し、中日間のコミュニケーションを円滑に進めるために、受講生に最新の動向を紹介しながら、指導を行っている。
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