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ISSライブラリー ~講師が贈る今月の一冊~

2017.01.02

スキルアップ

第9回:成田あゆみ先生(英語翻訳)

第9回:成田あゆみ先生(英語翻訳)

先生方のおすすめする本が集まったISSライブラリー
プロの通訳者・翻訳者として活躍されているISS講師に、「人生のターニングポイントとなった本」「通訳者・翻訳者として必要な知識を身につけるために一度は読んでほしい本」「癒しや気分転換になる本」「通訳・翻訳・語学力強化のために役立つ参考書」等を、エピソードを交えてご紹介いただきます。
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今月の一冊は、英語翻訳者養成コース講師、成田あゆみ先生ご紹介の「わたしらしく働く」(服部みれい著、マガジンハウス、2016年)です。
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“突き抜けた人”の駆け出し時代の話は、どんな分野でも面白いです。
それがものを書く人の話なら、翻訳者にとっては実践的でもあります。
最近読んだなかから、そんな本を1冊紹介します。

『わたしらしく働く』(服部みれい著、マガジンハウス、2016年)
服部みれいさんは『マーマーマガジン』という雑誌を立ち上げた方。
いまの40代を代表する編集者でありエッセイストだと、個人的には思います。
そんな彼女が、これまでの仕事人生を振り返ったのが本書です。

題名だけ見ると、ゆる~く働くことを推しているように見えますが、
1ページも読めばすぐに、猛烈という言葉では足りないほどの怒濤の勢いで量をこなすことで、仕事力を高めた方だと分かります。私も無茶をしましたがここまでは・・・
「わたしらしく」とは、膨大な仕事量を、誠意をもって全力でこなし、時に手痛い失敗もして、時に勇気をもって「やります」と一歩を踏み出し、落ちては這い上がって、その先に見えてくるものだと教えられます。
また「実践編」は、転身をはかろうとする人は必読。納得できることばかりです。

文章力の高め方の話も、参考になります。というか、この方の文体自体が参考になります。
『マーマーマガジン』を立ち上げるなかで、ウェブに適した軽妙な文体を意識的に作っていった話。
あるいは、憧れの雑誌『オリーブ』に原稿を書けることになった時、『オリーブ』を手に入るだけ買い直し、その文体をできる限り真似して書いた話。
どれも、これから文体を作っていくことになる翻訳学習者の方にとって、ヒントになると思います。
(『オリーブ』は同世代の私にとっても憧れの雑誌でした。そういえば、翻訳スクールの存在を初めて知ったのは●年前、大学2年の時に読んだ『オリーブ』の翻訳家特集でした。『オリーブ』のお洒落な雰囲気もあって、そこに出ていた翻訳者の人は実にキラキラしていました。あれと今の自分は、ビジュアル的に相当かけ離れているのですが!)

話を『マーマーマガジン』に戻すと、同誌で奨励されている冷え取り健康法、私は(ゆるく)実践しています。
足が温かいと落ち着いて集中できて、疲れにくくなりますし、ふくらはぎを温めると訳語が出やすくなる(?!) のでお勧めです。

そして本書には、駆け出し時代に大失敗をするも、通訳の人に救ってもらったエピソードが登場します。
この通訳の人がくぐってきた修羅場の数々、圧倒的な実力、その陰で失ってきたもの。それをすべて引き受けた上での後進への愛…いろんなことが透けて見える話で、電車の中で泣けて困りました(泣き笑い)。

仕事人生の次の一歩に悩んでいる方、フリーランスの心構えを知りたい方、愛にあふれた励ましがほしい方にお勧めです!

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成田 あゆみ(なりた あゆみ)
フリーランス英語翻訳者。アイ・エス・エス・インスティテュートでは、 「6回集中特訓・和訳/英訳に役立つ英文読解ゼミ」「総合翻訳科・本科レベル」を担当。
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わたしらしく働く!
服部みれい
マガジンハウス
¥ 1,500
(2016-04-28)

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