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ワンランクアップの英語表現

2012.05.09

スキルアップ

第35回「果物に関連した」英語表現

第35回「果物に関連した」英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

今回は果物を使った表現です。

1.My plan didn’t go well.  I felt like slipping on a banana skin.(私の計画はうまくいきませんでした。失敗したという感じでしたね。)


slip on a banana skinまたはslip on a banana peelは直訳すれば「バナナの皮で滑る」ですが、転じて「失敗する」という意味で使われています。よくコメディなどでバナナの皮に足をかけるや滑って転ぶという光景がありますよね。なお、「バナナ一房」はa bunch of bananasです。
ところで「失敗」を表す珍しい単語は他にもあります。たとえばfiasco(イタリアオペラが語源)やgaffe(フランス語より)など、よく英語ニュースでも使われています。

2.This may sound like sour grapes, but I don’t like his expensive watch.(負け惜しみに聞こえるかもしれないけれど、彼の高額な腕時計は嫌いだね。)

sour grapesは「(入手できないことについての)負け惜しみ」という意味です。もともとイソップ寓話「すっぱい葡萄」から来ています。これはたわわに実るブドウを見つけたキツネが、飛び上がって採ろうとするもの、高すぎて届かず「どうせあのブドウは酸っぱいのさ」と負け惜しみを言うという話が元にあります。
ちなみにgo sourまたはturn sourは「酸っぱくなる」という意味の他に、「うまくいかなくなる」という場面でも使われます。sour自体の語源はドイツ語のsauer。酢キャベツの「ザワークラウト」はSauerkrautと綴ります。

3.Unfortunately, our new project went pear-shaped.(残念ながら私たちの新規計画はうまくいきませんでした。)

go pear-shapedはイギリスの略式表現で、「うまくいかない」という意味です。pear-shaped自体は体型を表す言い回しで「腰回りが出っ張った」ということです。欧米では「pear=洋ナシ」であり、洋ナシの形が人間の体型を思い起こさせるからなのでしょう。最近は日本でも「洋ナシ体型」「リンゴ体型」などと言われますよね。
なお、一節によればgo pear-shapedはイギリス空軍が曲芸飛行の際、円を描こうとしたものの、いびつな形になってしまったために生まれた表現ともされています。

4.The difference of opinion was the apple of discord.(意見の相違が争いの原因でした。)

the apple of discordは「争いの原因」という意味です。これはギリシャ神話に出てくるトロイア戦争の物語に由来します。三人の女神であるヘーラー、アテーナー、アフロディーテーが「一番美しい女神に与えられる」とされる金のリンゴを巡って争い、それがトロイア戦争に展開するという物語から来ています。

appleを使った表現は他にもあります。たとえばapple and oranges(水と油のような仲)、polish apples(ごまをする)、the apple of one’s eye(秘蔵っ子)、the apple of Sodom(失望の種)などです。

 

柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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