1. ホーム
  2. コラム
  3. 新着コラム
  4. 第208回「甲殻類などを用いた英語表現」

ワンランクアップの英語表現

2026.10.01

スキルアップ

第208回「甲殻類などを用いた英語表現」

「甲殻類などを用いた英語表現」柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

暑かった夏も終わり、秋の気配を感じます。先日、スーパーに入店するとおせち料理やクリスマスケーキの予約ポスターが掲げられていました。となると気分は早くも冬。そこで今回は先取りも兼ねて冬の風物詩である甲殻類などを用いた英語表現のご紹介です。

lobster shift (深夜勤務)

Their offer seemed really attractive but in fact, it was a lobster shift.  What they told me was completely false! (彼らの提案は実に魅力的に見えたものの、実は深夜勤務。言っていたことは真っ赤な嘘でした!)

lobster shiftは「深夜勤務、激務」という意味。lobsterは「ロブスター」、shiftは「シフト」です。なぜこの表現が「激務」になったかについては、諸説あります。中でも有力なのが「ロブスターは消化に時間がかかるため、食べ過ぎると目が冴えて眠れなくなる」というもの。つまり「一晩中寝ないで起きている」という意味から「深夜勤務」になったのだそうです。

ちなみにlobsterの語源はラテン語のlocust(バッタ)から来ていると「ジーニアス大英和辞典」は解説しています。ロブスターと言えばアメリカ・メイン州のものが中でも有名です。ところで食用の大きなエビでも伊勢エビにはハサミが無いのに対して、ロブスターには大きなハサミが付いています。伊勢海老の本場は三重県の伊勢志摩地方。「三重県のさかな」として指定されているそうですよ。

crabbing (不機嫌な)

You should never let their crabby attitude stop you from becoming happy. (彼らの不機嫌な態度のせいで、君が幸せになるのをあきらめてはいけないよ。))

crabbyは「不機嫌な、イライラカリカリした」という形容詞です。ハサミを威嚇しながら横歩きするカニの様子から、「不機嫌な」という意味になりました。ちなみに上記例文のcrabby attitudeをcrabbingと動名詞で置き換えることもできます。

ところで辞書でcrabを引くと、「カニ」の他に「ヤドカリ」の意味も。一方、星座の「かに座」はcancerです。なお、人名でCrabさんはいるか調べてみたところ、「ハリー・ポッター」シリーズのVincent Crabbeがヒットしました。日本語苗字の「蟹」さんも300人強いるそうです。

clam up (口を閉ざす、何も言わなくなる)

The gang clammed up when the police interrogated them. (ギャングは警察の取り調べの際、口を閉ざしました。)

clam up は「口を閉ざす、何も言わなくなる」という意味です。clamは二枚貝のこと。貝はこちらが捕まえようとすると殻を固く閉じますよね。その様子から生まれたフレーズです。この表現が使われ始めたのは19世紀前半のアメリカとされています。

なお、clamには「無口な人、口のかたい人」という意味もあります。また、動詞の場合「貝を取る、潮干狩りをする」という語義になります。ところで筋トレエクササイズにclam shellという動きがあります。気になる方はぜひ調べてみてください。

crayfish out of … (~から手を引く)

She promised to invest in my plan, but she crayfished out of the deal at the last minute. (彼女は私の計画に投資すると約束していたのに、土壇場になって合意から手を引きました。)

crayfish out of … は「~から手を引く」という意味。直前になって「やっぱりやーめた!」というあの光景です。crayfishはザリガニのこと。ザリガニは身の危険を感じると後ろ向きで素早く逃げる習性があります。そこから「尻込みして逃げる」というニュアンスのこの表現が生まれました。なお、アメリカ英語でザリガニはcrawfishとも言います。

ところで「土壇場で手を引く」は日本語の口語表現で「バックレる」と言います。これは「しらばっくれる」の省略版。「しらばっくれる」は「白(しら。白をきるのこと)」と「化ける」が組み合わさったもので、「しらばっくれる」自体はもともと「知らんぷりをする」でした。しかし時代と共に「都合の悪さから逃げる」という意味になっています。

いかがでしたか?今月は甲殻類などを用いた英語フレーズを見てみました。ちなみに私は魚介類が好きなのですが、実はカニの食べ方は不得意。手がベタベタになり、お皿の上も無残な状態に。これも慣れなのでしょうね。でも「カニカマ」は上手に食べられます(笑)!なお、カニカマは英語でcrab stickです。

バナー2

柴原 早苗
会議通訳者・放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。学生時代から通訳技法を学ぶ。ロンドン大学LSEにて社会行政学修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。報道現場では米大統領選挙、スポーツ、ビジネス、医学、芸能など幅広いニュースの同時通訳を担当。映画「謝罪の王様」(2013年/脚本・宮藤官九郎/主演・阿部サダヲ/監督・水田伸生)に放送通訳者役として出演。

この記事をシェアしませんか?

背景画像
背景画像

CONTACT

通訳、会議・イベント運営、
翻訳、人材派遣/紹介、
法人向け通訳・翻訳研修などに関するご相談は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。
お見積りも無料で承ります。