ワンランクアップの英語表現
2026.11.02
スキルアップ
第209回「camel関連の英語表現」
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
camel(ラクダ)と聞いてみなさんは何を思い描きますか?まだ世の中が喫煙に対して寛大だったころは、たばこの広告をよく見かけました。よって、私がcamelから連想するのは、やはりたばこ。アメリカで1913年に誕生した商品です。当時のアメリカでは中近東がブームになっており、そこからラクダのデザインが生まれたのだそうです。

今月はcamelにちなんだ英語フレーズを見ていきましょう。
目次
the last (final) straw that breaks the camel’s back (最後の一撃)
I was already exhausted, but my boss asked me to work overtime. It was the last straw that broke the camel’s back. I have decided to quit. (既に消耗していたのに、上司から残業を頼まれたよ。それが最後の一撃だったね。辞めることに決めたよ。)
「最後の一撃、限界を超えさせる最後の決定打」を英語でthe last (またはfinal) straw that breaks the camel’s backと言います。上記例文は過去の話をしているため、breakもbrokeと変化形になっています。
このフレーズは文字通り訳すと「(重荷を積んだ)ラクダの背骨を折るのは、最後に載せた一本のわら」です。わらは軽いですが、積み重なれば重量が出ます。最後の1本を載せたらラクダの骨が折れる、というわけです。そこから「最後の一撃」という意味になりました。
ところでback(背中)と言えば、通訳者は仕事柄、非常に緊張しながら通訳をしています。このため、業務終了時には頭から背中までガチガチに固まってしまうのですね。発声する喉も筋肉からできているため、そこをよくほぐす必要があります。血流を良くするためにも、体調管理が大事になってきます。
strain at a gnat and swallow a camel (本末転倒である)
He goes to the gym every day but drives a car to go there. He is straining at a gnat and swallowing a camel. (彼は毎日ジムに行っているのに、車で出掛けていますよ。本末転倒ですよね。)
「本末転倒である」という様子を表すstrain at a gnat and swallow a camelは新約聖書マタイによる福音書23章24節に登場するエピソードが語源です。gnatは「ブヨなどの小さな虫」のこと。ここでは主イエスが人間の矛盾した態度を批判する様子が描かれています。英語表現には聖書やシェイクスピアの一節が盛り込まれていることが頻繁にあります。ぜひこれを機に紐解いてみてくださいね。
the camel’s nose under the tent (なし崩し的)
Our teacher is very strict about arriving on time, because being late just once could be the camel’s nose under the tent. (私たちの先生は時間通りに授業に出席することに厳しいです。と言うのも、一回遅刻しただけでなし崩し的になるからです。)
「なし崩し的」の慣用句にthe camel’s nose under the tentがあります。この語源はアラブ地方とのこと。ラクダが「寒いので鼻先だけテントに入れてくれ」と要求をした際、それを許したがために巨大なラクダがテントを占領し、人間が追い出されてしまったという様子から来たのだそうです。
ところで日本語にも同様の意味で「蟻の一穴(ありのいっけつ)」がありますよね。こちらは中国の古典「韓非子(Han Fei Tzu)」から来ています。ちなみに中国の古典名・作者などの英語は日本語発音と異なります。孔子(Confucius)・老子(Laozi)・荘子(Zhuangzi)などがその一例です。
hump day (水曜日)
Happy hump day, everyone. Only two more days till the weekend! (みんな、水曜日お疲れ様!あと2日で週末だ!)
hump dayはアメリカの口語表現で「水曜日」のこと。1週間を山登りに例えた場合、真ん中の水曜日はピークになりますよね。それをヒトコブラクダに例えてhump dayと呼ぶようになりました。月曜火曜と頑張って水曜日を乗り越えれば週末が見えてきます。ビジネスシーンでお互いを励まし合うときなどに便利なフレーズです。
いかがでしたか?今月はcamelにちなんだ英語表現をご紹介しました。ところで2026年秋冬ファッションのトレンドカラーを調べたところ、茶系の「キャメル」がヒットすると予測されているそうです。
柴原 早苗
会議通訳者・放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。学生時代から通訳技法を学ぶ。ロンドン大学LSEにて社会行政学修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。報道現場では米大統領選挙、スポーツ、ビジネス、医学、芸能など幅広いニュースの同時通訳を担当。映画「謝罪の王様」(2013年/脚本・宮藤官九郎/主演・阿部サダヲ/監督・水田伸生)に放送通訳者役として出演。
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