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ワンランクアップの英語表現

2013.07.01

スキルアップ

第49回 ハトにちなんだ表現

第49回 ハトにちなんだ表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

今回のテーマは「ハト」です。日本語でハトは「平和の象徴」ですよね。果して英語はどうでしょうか?早速見てみましょう。

1. Since we could not agree on the budget, we pigeonholed the plan.(予算で合意できなかったため、その計画は棚上げしました。)

pigeonhole は「ハト小屋」のことですが、「棚上げにする、後回しにする」という意味もあります。別の言い回しを使うのであれば、we postponed the plan となります。
ところで「後回しにする」と似た表現ではprocrastinate(やるべきことをぐずぐずと先延ばしにする)があります。この単語はもともとラテン語から来ており、cras は「明日」という意味があるそうです。ことわざにProcrastination is the thief of time.(ぐずつきは時間泥棒である)がありますが、これは18世紀のイギリス詩人エドワード・ヤングによるものです。

2.She was pigeonholed as a comedy star.(彼女はコメディースターと決めつけられていました。)

pigeonhole は上記1の他にもas ~を伴って「(人)を分類する」という意味になります。be categorized as~と同じです。
pigeonhole は「書類棚」のことも指します。かつて私が勤めていた外資系企業でも、個人の棚のことを「ピジョンホール」と呼んでいました。オフィス家具などのサイトを見るとたくさん仕切りのついた棚を「ピジョンホール」という商品名で売っているところもあるようです。

3.My niece came over yesterday.  She is as harmless as a dove. (昨日姪が遊びに来ました。姪はとても無邪気です。)

be harmless as a dove は「とても無邪気な」という意味です。辞書でdoveを引くとこのフレーズが出ていますが、harmless の a の上と、dove の o の上にアクセント(´マーク)が付いています。これは読む際に、強調して読むべき印なのです。みなさんも辞書を引く際、ただ単語の意味を調べるのではなく、ぜひ例文にも目を通してみてください。強弱の位置やニュアンスの違いなど、色々な情報が掲載されています。

4.In the Japanese Diet, the hawks and the doves had a feud over the new bill.(日本の国会では、タカ派とハト派が新しい法案をめぐり、反目しました。)

the hawks and the doves は「タカ派とハト派」という意味です。ちなみに「ワシ」はeagle、「ハヤブサ」はfalcon、「トビ」はkite、「ノスリ」はbuzzard と言います。hawk はこれらの総称です。

ところで「ハト」はdove, pigeon どちらも使いますが、ニュアンスに違いがあります。dove は「小形の野生バト」のことで、pigeon は「飼いバト」のことなのです。旧約聖書の「創世記」8章に出てくるのはa dove of peace(平和のハト)。a pigeon of peace とは言わないのですね。こうした微妙な違いを知るのも英語学習の楽しいところです。


柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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