ワンランクアップの英語表現
2021.06.01
スキルアップ
第144回 「宇宙関連の単語を使った英語表現」
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
今年4月23日に日本人宇宙飛行士・星出彰彦さんが搭乗した宇宙船「クルードラゴン」が打ち上げられ、翌日にはISS・国際宇宙ステーションに到着しました。一方、ISSに滞在していた野口聡一さんは5月2日に無事地球に帰還しています。日本人宇宙飛行士の活躍は世界でも大きく報道されましたよね。また、火星ではヘリ飛行が行われるなど、最近は宇宙の話題がたくさん出てきます。

そこで今月は宇宙関連の単語を使ったフレーズを見てみましょう。
1 rocket (急増する)
Due to the economic uncertainty, the oil price rocketed by 10%. (経済が不安定だったことから、石油価格は10パーセントも急増しました。)
「急激に増える、激増する」を英語でrocketと言います。宇宙ロケットという名詞だけでなく、このように動詞としても使われるのですね。また、「急増する」以外にも、「とんとん拍子に出世する」「ロケットのように突進する」といった語義もあります。以前、このコラムで-cketを使った単語をご紹介した際、”It’s not rocket science” (難しいことではない)というフレーズを取り上げました。
なお、rocketはイタリア語のrocca (糸巻棒)から来ています。
2 live on another planet (現実的でない)
What he is suggesting is difficult to comprehend. He is living on another planet. (彼が提案している内容は理解に苦しむね。彼は現実的でないよ。)
「現実的でない、世間離れしている」を英語でlive on another planetと言います。be on another planetも同じ意味です。planetは「惑星」のことですが、惑星の覚え方も英語と日本語では違いがあります。日本語の場合、「すいきんちかもくどってんかい(水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星)」ですよね。一方、英語ではMy Very Educated Mother Just Saved Us Nine Pizzas (Mercury / Venus / Earth / Mars / Jupiter / Saturn / Uranus / Neptune / Pluto)となっています。冥王星(Pluto)は2006年に惑星の区分から外れましたので、日本語の「どってんかいめい(冥王星)」が今は「どってんかい」で終わっています。覚え方の違いも面白いですよね。
3 down to earth (現実的である)
She is down to earth about job hunting. (彼女は就職活動については現実的です。)
英語のdown to earth は「現実的である、堅実である」という意味です。一方、間にハイフンを入れてdown-to-earthと表記すると形容詞としての用法になります。たとえばdown-to-earth suggestion(現実的な提案)などがその一例です。
ところで洗濯機にはアースが付いていますよね。アースは英語でもearthですが、これはイギリス英語です。アメリカ英語の場合はgroundと言うのですね。どちらも名詞・動詞両方で使えます。「洗濯機にアースを付ける」は英語でearth(またはground)the washing machineとなります。
4 astronomical (膨大な、莫大な、天文学的な)
What you are showing is such an astronomical amount of money. (あなたが提示しているのはあまりにも莫大な金額です。)
astronomicalは「莫大な、膨大な、天文学的な」という意味です。「天文学」はastronomyであり、これはastro- (天文、星)と-nomy(法則)が組み合わさっています。ちなみに手塚治虫の「鉄腕アトム」は英語で”Astroboy”と言います。
ところで「占星学」は英語でastrologyです。かつて初期の天文学のことをastrologyと言っていましたが、今は「astrology=占星学」です。ちなみに占星学と聞いて私が思い出すのは、アメリカのレーガン元大統領の夫人、ナンシーさんです。夫人は占星術に傾倒しており、占いを元にして政策に関与したと言われています。そのことが明るみなったときには大きな議論を招いたことを覚えています。
以上、今月は宇宙関連の単語を用いた英語表現をご紹介しました。ちなみに「宇宙の日」は毎年9月12日です。これは1992年に当時の科学技術庁と宇宙科学研究所(JAXAの前身)が制定したものです。92年9月12日に宇宙飛行士・毛利衛さんがスペースシャトル・エンデバーに搭乗して宇宙へ向かった日でもあるのですね。
柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。
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