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ワンランクアップの英語表現

2021.11.02

スキルアップ

第149回 「住宅用語を使った英語表現」

第149回 「住宅用語を使った英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

駅やスーパーなどのラックに置かれているフリーペーパー。みなさんは手にしたこと、ありますか?私は「紙媒体」がとにかく好きで、街頭でもこうした冊子を見かけるとつい手が伸びてしまいます。家を買うあてが皆無であるにも関わらず、不動産関連の冊子を入手することも数知れず。間取りを見たりインテリアのヒントをいただいたりと、めくっていて楽しいのですよね。
今回は、住宅関連の単語を用いた英語フレーズをご紹介いたします。


1  shut the stable door after the horse has bolted (後の祭り)

Don't shut the stable door after the horse has bolted.  Say sorry to her now. (後の祭りにしてはいけないよ。彼女に今すぐ謝った方が良いよ。)

「後の祭り」を英語でshut the stable door after the horse has boltedと言います。文字通り訳せば「馬が飛び出してから馬屋の扉を閉める」です。つまり、「時すでに遅し」ということですよね。boltという動詞は「ボルトで締める」という意味の他に「急に飛び出す」という語義もあります。何となく正反対ですので、少し紛らわしいですよね。

上記の表現は主にイギリスで使われます。アメリカ英語ではclose the barn door after the horse has left (escaped)と言います。barnは「納屋、家畜小屋」のことです。

ところで幼少期に暮らしていたイギリスでは、乗馬が子どもの習い事では人気でした。馬が主人公の小説"Black Beauty"もベストセラーでしたね。


2  the corridors of power (権力の中心)

He had an extraordinary influence in the corridors of power. (彼は権力の中心において物凄い影響力を持っていました。)

the corridors of powerは文字通り訳すと「権力の回廊」ですが、具体的には「政府などで重要な決定が下される場所、権力の中心」を指しています。corridorは「廊下、回廊」のことで、この表現はthe halls of powerと言い換えることもできます。

corridorは元々イタリア語で、corrid-(走る)と-or(場所)がつながった単語です。厳密には「学校やホテルなど、いくつもの部屋の出入り口がある廊下」のことで、アメリカではhallhallwayと言います。


fly out of the window (無くなる)

Even though her happiness flew out of the window, she never lost hope. (彼女は自らの幸せが無くなったにも関わらず、決して希望を捨てませんでした。)

口語表現で「無くなる」を英語でfly out of the windowと言います。go out of the windowと言い換えることも可能です。windowは古ノルド語のvindauga(窓)から来ており、分解するとwind+-ow(目)となります。「風の出入りする穴」が元の意味です。

ところで「窓」にも色々な種類がありますよね。「出窓」はbay window、「二重窓」はdouble window、「上げ下げ窓」はsash windowです。ちなみにこの「上げ下げ窓」は別名「ギロチン窓」とも言います。ちょっと想像するとコワイですよね。


wipe the slate clean(水に流す)

I want to restart my life. I want to wipe the slate clean(私は自分の人生の再出発をしたいのです。だからもう全部水に流したいのです。)

slateは「スレート、粘板岩」で、屋根材として使われます。また、「石板」という意味もあり、昔はそれにチョークを使って文字や絵を描いていました。それを布で拭きとってはまた書くという作業が行われていたのです。その動作から生まれたのが上記の表現です。

ところでアメリカ大統領選挙でもslateという語が出てきます。これは「候補者名簿 (ticket)」のことです。大統領選用語は色々とあり、primary(予備選挙)、blue state (民主党支持の多い州)、red state(共和党支持の多い州)など独特です。


今回は建築用語を使ったフレーズを4つ見てみました。ところで私は数か月前に新橋にある「中銀(なかぎん)カプセルタワー」の見学に行きました。これは黒川紀章氏が設計した1972年完成のビルです。カプセルを積み重ねた集合住宅で、実に斬新なデザイン。強度上の問題から現在、取り壊し計画に直面していますが、ファンは多く、何とか保存や再生へとの声が高まっています。一見の価値ありです。


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言、大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトで日本語訳・解説を担当中。大学や企業での学習アドバイス経験多数。

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