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ワンランクアップの英語表現

2020.12.01

スキルアップ

第138回 「料理関連の英語表現」

第138回 「料理関連の英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

いよいよ年末。お祝い行事でおいしい料理を堪能できる時期ですよね。幼少期に暮らしたイギリスではChristmas Puddingが名物でした。てっきりプリンかと思いきや、干しブドウなどを織り込んだデザートで、非常に濃厚な味であったのが印象的でした。


今月は料理関連の用語を使った表現をご紹介していきます。


the cherry on the cake 予想外の良いこと

The product itself was great, but the cherry on the cake was its price. (価格も素晴らしかったのですが、さらに予想外に良かったのは価格でした。)

the cherry on the cakeはイディオムで「予想外の良いこと、特典」という意味です。文字通り訳すと、「ケーキの上のさくらんぼ」ですよね。ケーキ自体、すでにおいしいものであるのに、そこにさらにさくらんぼが載っていれば嬉しくなります。そのようなニュアンスから生まれた表現です。

なお、同様の表現にthe icing on the cakefrosting on the cakeなどもあります。一方、「特典」はperksと言います。こちらはもともとアメリカ英語から来ており、役職員や管理職に対して与えられる給料以外の特典を指します。


2  go off the boil 熱が冷めて

They were looking forward to their trip, but now they seem to have gone off the boil. (彼らは旅行を楽しみにしていたものの、今や熱が冷めてしまったようです。)

「熱が冷める」を英語でgo off the boilと言います。「沸騰がやむ」という状況から派生した意味なのが面白いですよね。

ところで日本語では「水」「お湯」という語がありますが、英語ではwaterまたはhot waterとなります。では日本の場合、具体的な温度はどれぐらいなのでしょう?調べたところ、日本における「冷水」は10度以下、「微温湯(びおんとう)」は30から40度、「温湯」は60から70度で、「熱湯」はおよそ100度なのだそうです。


have bigger fish to fry もっと重要なことがある

Don’t spend your time on someone you can’t trust.  You have bigger fish to try(信用できない人に自分の時間を費やしてはいけないよ。君にはもっと重要なことがあるのだから。)

直訳すれば「より大きな揚げるべき魚を持っている」となるこのフレーズ。意味は「より重要なことがある」です。他にもhave other fish to fryまたはhave more important fish to fryと言います。

ちなみにfishを使った他の表現ではa big fish in a little pond(お山の大将)、be on a fishing expedition(秘密などを探り出そうとしている)などがあります。


cook up でっち上げる

Although he seems like a nice guy, he tends to cook up many things. (彼は人が良さそうに見えるけれど、多くのことをでっち上げるのですよね。)

cookは「料理する」ですが、後ろにupが付くことで「でっち上げる」という意味になります。もちろん、cook upそのもので「料理を作る」という語義もありますが、慣用句の場合、ネガティブなニュアンスを伴うのですね。なお、cooked-up reasons(でっち上げの理由)のように、名詞の前であればcooked-upとハイフンを付けて一語にします。

ところでcookは「料理する、煮焼する」という意味ですが、ケーキやスープの調理には使わない単語です。また、日本語の場合、「料理する」は加熱の有無を問わないのですが、英語のcookは火を通す際に使う単語です。火を通さない場合はmakeprepareといった英単語を使います。

ちなみに日本語の「コンロ」は今でこそカタカナ表記ですが、漢字では「焜炉」です。「焜」は「かがやく、ひかる」という意味になります。なお、「料理用コンロ」は英語でcooking stoveです。そう言えばかつてイギリスで暮らしていたころ、AGA(アーガ)と呼ばれるオーブンが大人気でした。ただ、非常に高価であることから、多くの人々にとっては「あこがれの対象」だったようです。

いかがでしたか?今月は料理関連の単語を用いた表現をご紹介しました。いよいよ年末までカウントダウンですね。今年もお読みくださりありがとうございました。少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。また来年、お目にかかりましょう!


柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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