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ワンランクアップの英語表現

2024.08.01

スキルアップ

182回「正方形のアイテムを用いた表現」

182回「正方形のアイテムを用いた表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

海外で暮らしていた幼少期のこと。友人宅へ遊びに行った際、おやつを頂くことがありました。そのとき一緒に出てくるのが可愛い柄のペーパーナプキン。広げるとハンカチぐらいの大きさです。これをお皿代わりにしたり、手や口を拭いたりとなかなか便利でした。が、意外と難儀したのがその「硬さ」。普通のティッシュの方が柔らかいのですよね。napkinと聞くとそんなことを思い出します。


そこで今回はnapkinを始めとした「正方形」アイテムを使った英語フレーズをご紹介していきます。


back of the napkin calculation ざっくりした計算

Before I go to the tax office, let me do my back of the napkin calculation. (税務署に行く前に、ざっくりした計算をしてみよう。)

「ざっくりした計算」を英語でback of the napkin calculationと言います。「ナプキンの裏に走り書きするような大まかな計算」というニュアンスで、back of the envelope calculationとも言います。確かに昔はスマートフォンも無かったわけですので、概算をするにはメモ用紙か封筒の裏、ナプキンなどが便利なアイテムでしたよね。

なお、napkinの語源はラテン語で、nap-(布)と-kin(小さいもの)から来ています。ちなみに私は先日「世界はラテン語でできている」(ラテン語さん著、SB新書、2024年)を読んだのですが、ラテン語が英語の語源になっていることがわかりやすく書かれた一冊でした。お勧めします!



a night on the tiles 羽目を外す夜

He spent a night on the tiles because he had just finished the exam. (彼は試験を終えたばかりだったので、羽目を外す夜を過ごしました。)

同じく「正方形」で思い出すのが「タイル」。ということでご紹介するのがこの例文です。a night on the tilesは主にイギリスで使われるフレーズで、「羽目を外す夜」という意味になります。語源は「ダンスフロアなどの床がタイルでできているから」とされています。イメージしやすいですよね。

ところでtileを英和辞典で調べてみると、一般的な「タイル」の意味の他に、動詞として「秘密を誓わせる、会議を極秘にする」という語義もあります。実に興味深いです。



dice with death 大きな危険を冒す

Inexperienced climbers are dicing with death when they climb mountains in these conditions. (経験の浅い登山者がこのような状況下で登山をするのは、大きな危険を冒していることになる。)

dice with death は「大きな危険を冒す」という意味です。diceは「サイコロ」のことですが、動詞では「いちかばちか冒険をする」という意味も有します。そこから生まれたのがこの英語表現です。

ところでdicedieの複数形です。dieは「死ぬ」ではなく、この場合は「さいころ」のこと。通常はdiceで使うのですよね。「さいは投げられた(=もう後へは引けない)」はThe die is castと言います。「もう後へは引けない」は他にもcross the Rubiconと言い、ニュース英語でよく耳にする表現です。


No dice! 無理!

Getting on this roller coaster? No dice! I am scared of heights. (このジェットコースターに乗るの?無理!高所恐怖症なんだもの。)

「無理!」を英語でNo dice!と言います。これはサイコロのゲームにおいて、「振ったサイコロがテーブルを越えて無効になる」という状況から生まれたフレーズです。「無理!」の他にも「トライしたがダメだった」というニュアンスで使われることもあります。

拒絶を表す英語表現では他にもNo way! などがありますよね。ちなみに私が幼少期に転入したイギリスの小学校では、よくクラスメートがYou must be joking!(冗談でしょう)やBlimey!(わあ!)などのフレーズを用いていました。頻繁に耳にする表現こそが一番覚えやすかったと言えます。



いかがでしたか?今月は正方形のナプキン、タイル、サイコロを用いた英語フレーズを見てみました。ところで正方形と聞いて私が真っ先に思い描くのが「最中(もなか)」です。時々無性に食べたくなるのですよね。なお、「最中」の英語一言では表せず、a Japanese sweet filled with red bean pasteという感じになります。



柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

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