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ワンランクアップの英語表現

2024.01.05

スキルアップ

 第175回 「映画「翔んで埼玉」にあやかった英語表現」

 第175回 「映画「翔んで埼玉」にあやかった英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

12月上旬に映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて」を観てきました。長年埼玉県に暮らす私にとっては待望の続編。出かけたのは平日の昼間でしたが、近年にしては珍しく、座席は満席に近い!驚きましたね。みなさん有給をとっていらしていたのでしょうか?今回は埼玉だけでなく、近畿地方のネタもたくさん出てきます。大いに笑える作品で、キャスティングも豪華。私は上映中、「このブラックユーモアはイギリスのモンティ・パイソンに通じる!」と感じました。


ということで、今回は「翔んで埼玉」に出てくるキーワード、「電車」や「水晶玉」などの英単語を使ったものをご紹介します。4つのアイテムはいずれも作品で出てきます。気になる方はぜひ作品をご覧くださいね。

sail through 難なく切り抜ける

Even though the exam was difficult, she managed to sail through.  (試験は難しかったものの、彼女は難なく切り抜けました。)

「難なく切り抜ける」「楽に合格する」を英語でsail throughと言います。sailは「航行する」「帆走する」ですので、それにthroughが付くことでスムーズに進む様子が思い描けます。なお、sailの語源は古英語のseglで「帆」のこと。「切り取られた布」が原義であるとジーニアス大英和辞典では説明しています。

なお、sailorは「船員」ですが、職業を表す語尾の-or-erは混同しますよね。「翻訳者」はtranslatorで、「通訳者」はinterpreter。その都度覚えていきましょう。


train of thought 思考回路

I had to concentrate in order to keep up with his train of thought. (彼の思考回路についていくために、私は集中せねばなりませんでした。)

英語で「思考回路」をtrain of thoughtと言います。trainは「電車」のことですが、他にも「連続」という意味があり、train of events(一連の出来事)、train of misfortunes(一連の不幸)といった表現もあります。なお、trainの語源には「引きずる」という意味があり、「訓練」のtrainingも、「引きずる」から派生して生まれた単語です。


dam up one’s anger 怒りを抑える

She was always calm and was very good at damming up her anger. (彼女はいつも冷静で、怒りを抑えるのがとても上手でした。)

dam up one’s angerは「怒りを抑える」です。damは水をせき止める「ダム」という名詞の他に、「ダムを造る」「流れをせきとめる」という動詞の用法もあります。そこから転じて「感情を抑える」というニュアンスでも使われています。

ところで「ダム」で思い出すのが、日本各地のダム。国土交通省が管理するダムの総数は128個。法律で「高さ15メートル以上のもの」をダムと称するそうです。日本最古のダムは1900年ほど前に作られたとか。他にも「日本最大ダム」「日本最小ダム」「ダムカレー」「ダムカード」など気になります・・・!


I don’t have a crystal ball 未来のことはわからない

I can’t give you the answer because I don’t have a crystal ball(答えを言うことはできないなあ。未来のことはわからないからね。)

「未来のことはわからない」を英語でI don’t have a crystal ballと言います。文字通り訳せば「私は水晶玉を持っていない」ですよね。crystal ball (水晶玉)は占いでおなじみのアイテム。よって、「将来はわからない」「未来を占うことはできない」という状況を表しています。

さて、「占い」と言えば「タロットカード」(tarot)もあります。こちらの語源はアラビア語にさかのぼれるそうで、「投げる」という意味があります。今日のタロット占いでカードを「投げる」動作はなく、タロット自体の起源も諸説あるようです。

ところで「水晶玉」で私が思い出すのが「スノードーム」。ガラスの中に注目する、という意味合いで水晶玉に似ていると感じます。日本でもスノードームは近年人気で、特にサンタさんと粉雪がデザインされたものは、季節感を抱けますよね。なお、「スノードーム」は英語でsnow globeと言います。


今回は11月に公開されたコメディ映画「翔んで埼玉」に出てくる注目キーワード(?)を元に英語フレーズをご紹介しました。人生に必要なのは笑い!ということでみなさま、2024年も幸せと笑いに満ちた一年となりますように。


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言、大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトで日本語訳・解説を担当。大学や企業での学習アドバイス経験多数。各種サイトでコラムも執筆中。


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