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ワンランクアップの英語表現

2011.01.17

スキルアップ

第22回「音楽関連」の英語表現

第22回「音楽関連」の英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

先日、親子向けのクラシックコンサートに出かけてきました。在京の交響楽団有志と青少年管弦楽団から成り立ったオーケストラが有名曲やアニメソングなどを奏で、親子ともども実に楽しめるものでした。そこで今回は音楽関連の英語表現をご紹介しましょう。


1.We should all be singing the same tune before we publicize our new product.(新商品を発表する前に、私たちは同じことを言えるようにしなければ。)

sing the same tuneとは「公共の場において複数の人々が同じことを言う」という意味です。通常singは進行形(singing)で用います。辞書によっては「同じことばかり言う」というややネガティブなニュアンスの定義もありますが、インターネット上で用法を調べてみると、ネイティブは必ずしも否定的なニュアンスばかりで使っているわけではなさそうです。
アメリカ、イギリス、オーストラリアではsing the same tuneですが、イギリスでは同様の表現でsing from the same hymnsheet/songsheet(同じ讃美歌カード/歌詞カードを見ながら歌う)という言い回しもあります。イギリスでは多くの学校が英国教会派で、今でも毎朝礼拝の際にはhymn(讃美歌)を歌っています。

2.Our president said he will beat the drum to gain support for our products.(わが社の社長は当社商品を支持していただくため、派手に売り込むと述べました。)

beat the drumとは「ドラムを叩く」、つまり「鳴り物入りで宣伝する」という意味です。通常、forを伴う形で使われます。和英辞典で「叩く」を引くと、strike, hit, knock, tapなどの語が出てきますが、ドラムの場合は必ずbeatを用います。英作文の際には和英辞典の最初の訳語だけを見て安心するのではなく、ぜひ最後の語までチェックするようにしましょう。一番良いのは和英辞典を引いた後、英英辞典で引き直すことです。ほんの一手間をかけるだけでみなさんの表現力がグンとアップしますので、ぜひとも習慣にするようにしてください。

なお、「鳴り物入りで宣伝する人」はdrumbeaterと呼ばれます。-erは動詞の後につく接尾辞で「~する人」という意味です。たとえばcleaner(清掃係)、caretaker(管理人)、driver(運転手)などがあります。

3.He didn’t work hard enough so now he has to pay the piper and do overtime.(彼は十分努力しなかったから、その代償として残業をしなければならない。)

pay the piperは「自分の行為により、良くない結果を受ける、代償を払う」という意味です。よく見かける表現ではHe who pays the piper calls the tune(金を出せば口も出る)というものがあります。こちらはもともと「笛吹きに金を出す者が曲を注文する権利がある」という意味で、ドイツの伝説「ハーメルンの笛吹き男」が起源だという説もあるようです。英語を学ぶ際にはこうした伝説や神話の知識があると大いに役に立ちます。

4.I shouldn’t blow my own horn, but I think I am qualified for the new post.(自画自賛してはいけないとは思いますが、新しい役職に私は適任だと思います。)

blow one’s own hornとは「自画自賛する」という意味で、sing one’s own praisesと同様の表現です。おもにアメリカで使われており、イギリスやオーストラリアの場合、blow one’s own trumpetとなります。口語表現としていずれも用いられ、一言で表すとbrag(自慢する)に相当します。自分で自分のことを金管楽器のファンファーレ付きで自慢する、そんな状況を想像していただけると良いでしょう。

ちなみに日本語で「ほらを吹く」という表現がありますが、こちらはもともとインドが起源です。インドでは人々を説法に集める際、ホラガイを吹いたそうです。ホラガイは千手観音の持物の一つですので、旅先の寺院や美術館などで千手観音を観賞する際にはぜひ注目してみてください。

音楽関連の単語を使った表現はほかにもたくさんあります。ぜひみなさんも辞書で様々な楽器を引き、探してみましょう。ボキャブラリーの力をつける最大の近道は、「楽しみながら辞書を引くことを続ける」、これに尽きます。単語集で学習することももちろん効果的ですが、自分でイニシャチブをとりながら興味のある単語を引くことで、辞書を身近なものにしていきましょう。


柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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