ワンランクアップの英語表現
2011.03.07
スキルアップ
第23回「枠にちなんだ」英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
「枠にはまる」「四角四面に考える」など、枠や形を使った表現は日本語でもたくさん見られます。英語にもやはりそうした傾向はあるようです。早速見てみましょう。

目次
window of opportunity
In order to increase our sales figures, we would like to use the window of opportunity.(我々の売上数値を伸ばすため、私たちはまたとないチャンスを使いたいです。)
window of opportunityとは「機会の窓」、つまり、特定のことを成し遂げるために与えられたごくわずかな時間のことを指します。通訳者は収録語数の多い「リーダーズ」および「リーダーズプラス」の英和辞典(研究社)を主に使用していますが、この表現が出ているのは「リーダーズプラス」のみです。一方、英語学習者向けの英英辞典「ロングマン現代アメリカ英語辞典」を引くとwindowの定義の上位にそのまま出ています。同じ表現でも、英和辞典、英英辞典において取り上げ方が違うのが分かりますよね。つまり、英英辞典で上位に取り上げられているということは、それだけネイティブが多用する表現ということになるのです。辞書を引く際は、英和辞典だけでなく、英英辞典もぜひチェックするよう、心がけてください。
in the right frame of mind
If you want to be promoted, you just need to be in the right frame of mind.(昇進したいのならば、とにかく適切な心構えでいなければなりません。)
frameとは「枠」という意味で、もともと12世紀以前に使われた古期英語のframian(ためになる)という言葉から来ています。これが派生して「推進・建設する」という言葉が生じ、現在使われている「枠、骨組み」と言った意味に変遷しています。forward(前進する)という単語と語源は同じです。
frame of~という表現はほかにもあります。たとえばframe of government(政治機構)やframe of reference(価値判断の基準枠)などです。shift one’s frame of referenceは「視点を変える」という意味になります。
square one
Unfortunately, we got the figure wrong. It’s all back to square one.(残念ながら数値を間違えてしまいました。これで振り出しに戻ることになります。)
square oneとは「出発点、最初」という意味。ボードゲームの振り出しが「1番」という枠で記されていることから、この表現が誕生しています。ちなみに日本の「すごろく(双六)」は元来、二つのさいころを振り、最大値の「六」が出るのを競ったことからこのように名付けられたそうです。一方、英語圏でのすごろくと言えば、backgammonやsnakes and laddersがあります。backgammonが二人用の盤上ゲームなのに対し、snakes and laddersは今の日本のすごろくに近いものとなっています。snakes and laddersのボードにはヘビとはしごの絵が描かれており、ヘビの頭の絵まで来るとしっぽまで逆戻りし、はしごの下の端に来ると上まで上れるというルールです。実物を調べたい方はぜひGoogleの検索ウィンドウにsnakes and laddersと入力し、そのあと「画像」で検索してみましょう。
carry the banner
I would like to carry the banner for the new project. (私は新しいプロジェクトを支持したいと思います。)
bannerは「旗、横断幕」という意味です。最近はウェブサイトの画面に「バナー広告(banner advertisement)」もよく見られますよね。ロングマン英英辞典ではa long piece of cloth on which something is written, often carried between two polesとありますので、二本の柱でくくりつけられた横長の布というイメージをネイティブは思い浮かべるようです。carry the bannerはそうした横断幕を携えて何かを支持する、あるいは味方するという意味になります。同じ「幕」でも日本の場合は縦書き文化ですので「垂れ幕」です。一方、ネパールの国旗は二つの三角形を重ね合わせたもの、スイスとバチカンの国旗は正方形です。一言で「旗」と言っても、それぞれの国民が描く大きさや形は異なります。英語を学ぶ際、そうした文化的背景にも思いをはせると世界もグンと広がるはずです。
英語学習で大切なのは、「いかにたくさんの単語や文法を知っているか」よりも、「どれだけ多様な文化に好奇心を持ってアプローチできるか」が大切になってきます。日ごろから新聞の国際面に目を通し、幅広い知識を吸収するようにしていきましょう。
柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。
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