ワンランクアップの英語表現
2012.03.02
スキルアップ
第33回「家庭雑貨を使った」英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
今回は家庭雑貨を使った表現です。
1.The President needed her plan to use as a foil for his own argument.(社長は自分の主張のために、彼女の計画を引き立て役として使いたかった。)

foilの語源はラテン語で、folium(葉)から来ています。日本でも「アルミホイル」という単語でおなじみですよね。use as a foil for ~またはserve as a foil for~は「~の引き立て役になる」という意味です。
なお、foilには「(計画などを)くじく」という語義もあります。たとえばThe plan was foiled by the CIA.(その計画はCIAによってくじかれた)という具合です。
2.The project has been kept under wraps for two years.(そのプロジェクトは2年間、内密となっていました。)
wrapは食品を覆う「ラップ」を意味します。イギリス英語ではcling film、アメリカ英語はplastic wrapです。keep under wrapsは「秘密にしておく、内密にする」という意味です。一方、take the wraps off は「~を公表する、~をあばく」となります。
ちなみにwrapは「女性用ショール」という意味の他に、「薄いパンで具を包んだサンドイッチ」という意味もあります。日本でも「たまごのラップサンド」などというメニューがカフェでも見られますよね。
3.The activists have climbed on their soapboxes to protest the president’s action.(活動家らは大統領の行動に抗議するため、意見を活発に述べました。)
soapboxは「石鹸を詰める木箱」ですが、「即席の街頭演説台」という意味もあります。英英辞典を引くと「演説台」を第一定義に掲載しているところが多いようです。ロンドンのハイドパークにはスピーカーズコーナーという広場があり、誰でも自由に演説できますが、まさにsoapboxに乗って演説している人たちがいます。
なお、洗面台で石鹸を載せるトレイはsoap dish、粉石鹸はsoap powder、石鹸工場はsoap worksです。テレビの連続メロドラマはsoap operaですよね。
4.He was born with a silver spoon in his mouth.(彼は金持ちの家に生まれました。)
silver spoonは「銀のさじ」のことで、とりわけ「相続した富」を指します。欧米では現在も子どもが生まれた際には、「一生食べ物に困らないように」との願いを込めて銀のスプーンを贈ります。銀といえば日本では「シルバー925」あるいは「スターリングシルバー」と呼ばれるアクセサリーがあります。これは純銀の含有率が92.5%であることを示しています。
ちなみにオーストラリアでは同様の表現でsilver spoonの代わりにsilvertailを使います。ポルトガル語では「金のゆりかごの中で生まれる」が富を表すのだそうです。一方、日本語で「名門の子弟」を「御曹司」と言いますが、「曹司」はもともと「役人や女官の部屋」から来ています。
柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。
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