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ワンランクアップの英語表現

2017.05.01

スキルアップ

第95回 「郵便関連」の語を用いたフレーズ

第95回 「郵便関連」の語を用いたフレーズ

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

かつてバブル全盛期だったころは誰も農業や土いじりなどに関心を抱いていませんでした。しかしバブル崩壊後はガーデニングや田植え、野菜作りなどがはやるようになりました。昨今のコミュニケーションも同様で、メールやLINEが全盛期である一方、手書きのお礼状や手紙が注目されています。書店には手紙の書き方本も並んでいますよね。物事の流行は行きつ戻りつです。


今月は郵便関連の語を使ったフレーズを見ていきましょう。


1. part and parcel of … ~の重要部分

Smartphones have become part and parcel of our daily lives. (スマートフォンは私たちの日常生活の重要な一部となりました。)

parcelは「郵便小包」のことで、主にイギリスで使われます。アメリカ英語の場合はpackageと言います。「小包を作る」はdo up a parcelです。part and parcel of … は「~の重要部分、骨子」ということで、例文ではスマホが我々の生活の一部に今やなっている様子を表しています。

parcelは「小さな(cel)部分(par)」から成り立つ単語です。かつてイギリスに暮らしていたころ、街中でミートパイなどを売るお店をよく見かけました。パイなどの一包みもparcelと言います。“curried chicken pie parcels”などといった表記を思い出します。


2. get one’s stamp of approval お墨付きを得る

Before I published the book about the chairman’s biography, I got his stamp of approval. (私は会長の伝記を出版する前に、本人からはお墨付きをいただきました。)

stampは「切手」の他に「スタンプ、印、はんこ」の意味を持ちます。動詞の場合は「踏みつける」ですが、「切手」も元はこの動詞から派生したのですね。上記例文はget one’s seal of approval と言い換えることもできます。

ところでなぜ日本語では「お墨付き」と言うのでしょうか?調べたところ、戦国時代から江戸時代にかけて大名や将軍などが自ら花押を書いた文書が「お墨付き」なのだそうです。それが転じて「当局者の承認」という意味になりました。


3. keep one posted 定期的に最新情報を伝える

So you took the exam?  Do keep me posted. (試験を受けたんだって?ぜひ最新情報を教えてね。)

postは「ポストに入れる」などの意味の他に略式表現として「新情報を知らせる」という語義があります。post自体は「替え馬の置いてある宿場」がもとの意味で、それが「駅伝馬車」「郵便」と転じていった単語です。

そういえば「郵便配達人」は英語でpostmanあるいはpostwomanと言いますが、最近は配慮的観点からpostal carrierと言うそうです。ちなみに数か月前に東京で雪が降った際、AFN(米軍放送)ではDJが「snowpersonを子どもたちが作っていた」と言っていましたっけ。そう、snowmanではなく、snowpersonと言う時代なのですね。


4. back-of-the-envelope calculation 概算

The figures are not exact.  It’s back-of-the-envelope calculation. (数値は正確ではありません。概算ですよ。)

back-of-the-envelope calculationはまさに封筒の裏にざっと書いて計算する様子を表すことから生まれた表現です。envelope自体は名詞の「封筒」ですが、envelopという動詞は「包む、覆う」という意味です。アクセントはveを強く読みます。スペルが異なるのも要注意です。

ちなみに日本語では「ざっくり計算する」と言いますが、「ざっくり」を国語辞典で引くと「ざっくりと開いた傷口」「ざっくりとキャベツを切る」などの用例が出ています。「大まか」という意味は俗語的な使い方だそうです。正式には「ざっと」や「大まかに」と言う方が良さそうです。

以上、今月は郵便関連のフレーズをご紹介しました。なお、1979(昭和54)年、当時の郵政省が7月23日を「ふみの日」に制定しています。「国際文通週間」は10月9日を含む一週間です。この時期になると郵便局では記念切手が登場します。私は子どもの頃、切手を熱心に集めていましたので、毎年必ずチェックしています。皆さんもこうした記念行事に合わせてたまには手紙を書いてみてはいかがでしょうか。受け取った方はきっと喜んでくださると思いますよ。


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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