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ワンランクアップの英語表現

2020.01.07

スキルアップ

第127回 「始まり」にちなんだ英語表現

第127回 「始まり」にちなんだ英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

新しい年が始まるとそれだけでワクワクしますよね。「目標は何にしよう?」「今年はどんな新しいことにチャレンジしようかな?」など、考えるだけで気分も前向きになります。新年というのは何かを始める上でもとても良いきっかけですよね。


今月は「始まり」をキーワードにした英語表現を見てみましょう。


charity begins at home 愛はまず身内から

Don’t be selfish in front of your family.  People say “Charity begins at home”. (家族の前でわがままになってはいけないよ。「愛はまず身内から」と言うでしょ。)

Charity begins at homeは諺です。意味は「愛はまず身内から、慈愛は家庭に始まる」ということです。まずは身内を大切にしましょうというニュアンスが含まれています。ここで使われているbeginは「始まる」という意味でおなじみですよね。一方、charityはラテン語のcaritus (尊敬、愛情) から来た単語で、「慈善、施し」といった意味があります。

ところで本稿を執筆するにあたり、charityを電子辞書で引いたところ、興味深い語に出会いました。The Charitiesという表現です。これは西オーストラリア州政府が始めた宝くじのことだそうです!


2  start the ball rolling 始める

OK, since we are all here, let’s start the ball rolling.  (よし、みんな揃ったところで始めよう。)

活動や会議などを「始める」は英語のフレーズでstart the ball rollingといいます。getsetstartの代わりに使っても構いません。「ボールを転がし始める」から転じた表現ですので、わかりやすいですよね。

ところでみなさんは日ごろの学習で英英辞典はお使いですか?オックスフォード新英英辞典でballを引くと”a solid or hollow spherical or egg-shaped object that is kicked, thrown, or hit in a game”とありました。「球形または卵型」としているあたり、さすがラグビー発祥国だなあと個人的に感じた次第です。


open doors チャンスを与える

Getting into the university has opened doors for him in life. (大学に入ったことにより、彼は人生においてチャンスを与えられました。)

「チャンスを与える」を英語でopen doorsと言います。「扉」をdoorsと複数形にしているのが興味深いですよね。ちなみに「扉を閉める」はclose the doorまたはshut the doorです。shutの方がcloseよりインフォーマルです。ほかにもdoorを使ったフレーズではopen-door policy(開放政策)、closed-door hearing(非公開喚問)などがあります。

なお、「チャンス、機会」は英語でchanceopportunityという語があります。chanceは「運よく偶然に起こる状況」であるのに対して、opportunityは「やるべきことができるようになる状況、好機」というニュアンスです。学習者向けの英和辞典にはこのような微妙な違いも解説されています。ぜひジーニアスやウィズダム、オーレックスといった学習者向け辞典も活用してみてください。


launch into … 熱心に話し始める

We were stuck in the shop for an hour.  The salesperson launched into a 60-minute sales talk!  (お店に1時間缶詰め状態になったよ。販売員が60分のセールストークを熱心に始めたので。)

launch into … は「熱心に話し始める」ということです。上記の英文では「お店に入ったところ、60分もつかまってしまった」という様子が表されています。launch自体は「始める、着手する」というほかにも宇宙用語で「ロケットを打ち上げる、ミサイルを発射する」といった語義があります。日本語でロケットの「発射装置」を「ランチャー」と言いますが、これはlauncherのことです。

ところで上記のlaunch into … のように「動詞+前置詞」からできたフレーズを「句動詞」と言います。launch outは「新しい仕事を始める」、launch forthは「長々と話をする」ということです。なお、日本語で「長々としゃべり続けること」を「長広舌(ちょうこうぜつ)」と言いますよね。これは「長舌」(口数が多いこと、舌が長いこと)と「広舌」(大きなことを無責任に言うこと)が組み合わさった語です。


今月は新しい年にちなんで「始まる」という言葉に関連した表現を見てみました。みなさんにとって2020年も幸せに満ちた一年となりますように!


柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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