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ワンランクアップの英語表現

2020.11.04

スキルアップ

第137回 「野菜を使った英語表現」

第137回 「野菜を使った英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

今年はコロナが続いていますが、それでも店頭にハロウィンの飾り付けが見られるようになると、心が和みますよね。あのオレンジと緑の彩りというのは、人を元気にするカラーだと私は考えます。秋も深まり、日も短くなっていますが、その分、屋内でのんびり過ごしたり、ハロウィンにちなんでカボチャ料理を作ったりするのも楽しいでしょうね。


今月は野菜を使った英語表現をご紹介します。


hot potato 厄介なこと

Since that issue had turned into a hot potato, he completely avoided taking responsibility. (あの問題が厄介なことになったため、彼は責任をとることを完全に避けました。)

「厄介なこと、扱いにくい問題」を英語でhot potatoと言います。文字通り訳せば「熱いジャガイモ」ですよね。これは、19世紀半ばに誕生した表現です。熱々ジャガイモは水分を含んでおり、手で触ると熱いというのが語源です。

ところで例文後半のavoidは「避ける」ですが、類語にevadedodgeなどがあります。avoidevadeは「嫌なものから『逃げる』というよりは『避ける』というニュアンス」、dodgeは「素早く避ける」(ドッジボールのdodgeです)です。一方、イギリスに留学していたころ、授業で先生が”That’s a cop-out!” という表現を用いておられました。これは「責任逃れ」という意味です。


2  know one’s onions 自分の仕事をよく心得ている、知っている

She is an excellent salesperson.  She knows her onions when it comes to customer satisfaction.  (彼女は素晴らしい販売員です。顧客満足についてよく心得ています。)

know one’s onionsは主にイギリスで使われる口語表現で、「自分の仕事をよく知っている」という意味です。ちなみにonion(玉ねぎ)の語源はラテン語のunio。玉ねぎの一種ですが、onionの語源には他にも「大きな真珠」というものもあるそうです。

ところで「玉ねぎの皮」はonionskinですが、これは手紙に使用された「オニオンスキン」という薄紙のことでもあります。半透明で、玉ねぎの皮と同じぐらい薄いことからこのような名称となりました。私が子どもの頃はまだメールもなく、航空便は「いかに軽くして郵便料金を抑えるか」がカギを握っていました。当時使っていた便せんも薄かったのを思い出します。


acknowledge the corn 自分の誤りを認める

I really admire him because he is always honest and acknowledges the corn.  (私は彼のことを本当に尊敬していますね。いつも正直で自分の誤りを認めますから。)

「誤りを認める、失敗を認める」は英語でacknowledge the cornと言います。文字通り訳すと「トウモロコシを認める」です。これは19世紀のアメリカから生まれた表現で、「トウモロコシを輸出する」と主張していたとある州が、実はブタ用に使っていたというエピソードから来たのだそうです。

ちなみにトウモロコシの花言葉は「財宝」です。


spill the beans うっかり秘密をもらす

I can’t trust him because he tends to spill the beans. (彼のことは信頼できないですね。うっかり秘密を漏らす傾向があるので。)

spill the beansは「うっかり秘密をもらす」という意味です。beanは「豆」のこと。大量の豆が入った袋をひっくり返してしまう光景が思い描かれます。語源には諸説あるのですが、一般的に考えられているのは、投票制度において豆を用いた際、それがこぼれて結果が分かってしまった、というものが主流のようです。

ところで某鉄道会社の商業施設に「ビーンズ(Beans)」があります。私が子どもの頃は駅に併設されているビルの多くが「○○駅ビル」という名称でした。その後、凝ったカタカナ名が付くようになったのですよね。オシャレ感が醸し出されている反面、私など、「あれ?何という名前だったかしら?『ビール』ではなかったし、『ジーンズ』でもないし」と戸惑ってしまいます・・・!

いかがでしたか?今月は食べ物関連の表現を見てみました。食欲の秋はまだまだ続きます。みなさま、おいしい食べ物を頂いて、お元気にお過ごしくださいね!


柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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