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ワンランクアップの英語表現

2022.11.01

スキルアップ

第161回 「お金関連の用語を用いた英語表現」

第161回 「お金関連の用語を用いた英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

イギリスではチャールズ新国王が即位されました。これまで慣れ親しんだエリザベス女王が描かれた紙幣やコイン、切手などは徐々に新国王のものに代わっていきます。一方、イギリスは赤いポストの発祥国ですが、そのポストも場所によっては今なおエリザベス女王の父君ジョージ6世の刻印がされたものもあります。これもやがて”C III R”(Charles III RexまたはRegina)となるのでしょうね。


そこで今月はコインやお金関連の英語を使ったフレーズを見てみます。

coin (単語などを)新しく作る

The media is good at coining words. (メディアは単語を新しく作るのが得意です。)

coinは「硬貨、コイン」のことですが、動詞では「硬貨を鋳造する」のほかに「(新語などを)作り出す」という語義もあります。coin an expressionなら「新しい表現を作り出す」となります。なお、coinが生まれたのは13世紀で、中期フランス語coin, cuigne(くさび)から来ています。さらにさかのぼるとラテン語のcuneus(くさび)と辞書に出ていました。

ちなみに「くさび(楔)」という語。知っているようで具体的にはよくわからないため、調べてみました!「楔を打つ」などと言いますよね。くさび自体は、V字型の道具です。たとえば木を切り倒す際、切り込みにくさびを入れておきます。そうすればチェーンソーが木に挟まれないようにできるのです。くさびには他にもいろいろな用途がありますので、気になる方はぜひネットで調べてみてくださいね。


coin it 大儲けする

The company was coining it from their new product.  (その会社は新商品で大儲けをしていました。)

「大儲けをする」を英語の口語表現でcoin itと言います。文字通り訳せば「硬貨を鋳造する」です。確かにどんどんお金を作れば儲けにつながるという印象はありますよね。なお「ぼろもうけする」はmake easy moneyと言います。また、「ぼろもうけ」という名詞ではbonanzaもあります。これはスペイン語が語源で、「穏やかな海」のこと。「幸運、豊富な鉱脈」という意味に転じて「ぼろもうけ」と変化していきました。


the other side of the coin 逆の見方

I understand your opinion.  But there is the other side of the coin.  (あなたの意見はわかる。でも、逆の見方もあるんですよね。)

「逆の見方、別の側面」をthe other side of the coinと言います。コインには表と裏がありますので、確かに今、見ている面をひっくり返せば、逆の見方ということになります。ちなみに日本語でも「コインの裏表」という表現があります。なお、「表裏一体」は「二つの異なるものでも、実は一つである」という意味です。

ところでテニスなどの試合の開始前にコイントスをして先攻後攻を決めますよね。この時の掛け声は”Heads or tails”です。オモシロ動画をどうぞ:

https://www.youtube.com/watch?v=Wbtt-xd1yT4


be minting money どんどん金儲けしている

If I learn more about stock, do you think I will be minting money in the future? (もし株について勉強したら、将来どんどんお金儲けするようになるかしら?)

お金儲けに関してもう一つのフレーズを。こちらはbe minting moneyです。mintはハッカという意味のほかに、「貨幣鋳造所」という語義もあります。動詞では「貨幣を鋳造する」です。

ところでイギリスにはthe Royal Mintという王立鋳貨局があります。ここでは硬貨が鋳造されますが、紙幣を作るのはイングランド銀行(The Bank of England)です。The Royal Mintを調べたところ、以前はロンドンにありましたが、今はウェールズ。イギリスの運転免許庁もウェールズのSwanseaにあります。イギリスでは1960年代から首都機能の分散をしているのです。ちなみに日本も紙幣の発行は日本銀行で、硬貨は独立行政法人造幣局が鋳造しています。大阪の造幣局の前には桜の通り抜けがあり、春になると美しい桜をめでる人たちでにぎわいます。


いかがでしたか?今月はお金にちなむ英語表現をご紹介しました。「お金」と聞いて私が思い出すのはABBAの”Money, Money, Money”。リリースは1976年ですが、今でもお店のBGMなどで耳にします。邦題は「マネー、マネー、マネー」ですが、ピーター・バラカンさんの著作名からすれば「猿はマンキ お金はマニ」ですよね。
 


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言、大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトで日本語訳・解説を担当中。大学や企業での学習アドバイス経験多数。コラム執筆のほか「放送通訳者・柴原早苗」(https://note.com/sanaeinterpreter/) 更新中。

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