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ワンランクアップの英語表現

2023.02.01

スキルアップ

第164回 「bridgeを用いた英語表現」

第164回 「bridgeを用いた英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

生まれて初めて長編小説を読んだのは高校生のとき。住井すゑ著「橋のない川」という全7冊からなる作品でした。内容は忘却の彼方に行ってしまいましたが、若かりし頃に集中して一気に読んだことは今でも覚えています。「読破した」ということそのものが、読書においては自信につながるのですよね。今年は古典や名作にチャレンジしたいと思います。


今回は「橋のない川」から連想して「橋」を用いた英語表現を見てみましょう。


build bridges 架け橋を築く

I participated in a youth program designed to build bridges of friendship. (私は友情の架け橋を築くという目的の青少年交流事業に参加しました。)

「架け橋を築く」は英語でもbuild bridgesと言います。同じ単語が日英両言語で使われていると覚えやすいですよね。bridgeは12世紀ごろに生まれた単語で、元は古英語のbrycg(丸太)です。ちなみに私は建造物を眺めるのが好きで、橋の写真集を見たことがあります。橋にも様々な形があり、名称も「アーチ橋(arch bridge)」「はね橋(bascule bridge)」「吊り橋(suspension bridge)」などなど。気になる方はぜひ画像検索をしてみてくださいね。


cross that bridge when one comes to it いざその時が来たら行動する

Don’t worry too much about the future.  You will cross that bridge when you come to it(あまり未来について心配し過ぎるのはいけないよ。君はいざその時が来たら行動するから。)

cross that bridge when one comes to itは文字通り訳すと「橋まで到達したら、その時に渡る」です。つまり、あらかじめ色々と憂慮するのではなく、いざとなればその時に対応する様子を表します。

ところで「石橋をたたいて渡る」は英語でbe excessively cautiousの他に、wear a belt and bracesもあります。「ベルトとズボンつり」というのが面白いですよね。


bridge over many difficulties 多くの困難を克服する

Thanks to her friends, she was able to bridge over many difficulties. (友人たちのおかげで、彼女は多くの困難を克服できました。)

「多くの困難を克服する」を英語でbridge over many difficultiesと言います。上記の例文1と2は名詞としてのbridgeでしたが、ここでは動詞で使われています。他にも「克服する」というニュアンスではbridge an awkward silence(気まずい沈黙を破る)といった表現もあります。

ところで「困難」の類語にはhardshipadversityがあります。adversityは非常に意味が強く、深刻度もあり、長く困難が続く様子を表します。日本語で言うところの「苦難」に近いかもしれません。


paint the Forth Bridge 気の遠くなるような仕事

We need to raise 1 million yen for the project. It’s like painting the Forth Bridge.(そのプロジェクトのために100万円集めないと。気の遠くなるような仕事だなあ。)

bridgeを用いた例文の4つ目は「気の遠くなるような仕事」という意味のpaint the Forth Bridgeで、主にイギリスで使われる表現です。Forth Bridge(フォース橋)とはスコットランドのエジンバラ西部にあります。フォース湾にかかる鉄橋なのですが、長さは521メートル。建設は何と1880年代で、世界でも有数の土木工学とされています。

https://www.theforthbridges.org/

まるであやとり作品のようなデザインですよね。当時としては壮大なスケールの建造物ですので、そこから「果てしない仕事」とのフレーズが生まれたのでした。


いかがでしたか?今月はbridgeを用いた英語フレーズを見てみました。ところで私は日本語の名字を英訳するのが好きで、たとえば「橋田さん」はBridgefield、「高橋さん」はHighbridgeと訳せるなあと想像しては楽しんでいます。英語圏でもBridgemanBridgewaterBridgeportなどの名字をネットで見つけました。みなさんもご自分の名字や名前を英訳してみると意外な発見があるかもしれませんね。ちなみに「柴原」の「柴」はbrushwoodfirewoodだそうです。”Brushwood-Field”とハイフンを入れて2単語にすると、何だかカッコよく見えます!


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言、大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトで日本語訳・解説を担当。大学や企業での学習アドバイス経験多数。各種サイトでコラムも執筆中。

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