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ワンランクアップの英語表現

2023.03.01

スキルアップ

第165回 「pointを用いた英語表現」

第165回 「pointを用いた英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

CNNの放送通訳をしていると、毎回様々な表現に出会います。私はその都度、メモに走り書きして辞書で調べてみます。この作業は私にとって「スタンプラリー」並みに楽しいもの。何しろ自分のノートに未知の単語が増えていくのです!ポイントは「忘れてもOK」「集めることを楽しむ」。気負わずおこなう方が長続きにつながります。今回ご紹介するpointed questionもCNNニュースで出てきました。


そこで今月はpointを用いたフレーズを見ていきましょう。


pointed question 鋭い質問

In my class, many students come up with pointed questions. (私のクラスでは多くの学生たちが鋭い質問をしてくれます。)

「鋭い質問」を英語でpointed questionと言います。確かに「鋭い」はpointedですので、日本語と同じですよね。pointの語源は古フランス語で、「とがった先端」という意味のpointeから来ています。フランス語の発音は「ポワン」です。

ところで辞書のpointを引くと、「先端」のほかに「鹿の角の枝」「馬や犬の足先」「点」「小数点」「得点」など色々な語義が出てきます。大学の成績で使われるGPA (grade point average学業平均値)でもpointを用いますよね。既知の単語も改めて調べ直してみると、たくさんの発見があります。英語学習の醍醐味です。


brownie point 点数稼ぎ

Don’t try to win brownie points by saying nice things.  That’s hypocritical. (良い事を言って点数稼ぎをしようとしてはダメ。それは偽善的だよ。)

「点数稼ぎ」を英語ではbrownie pointと言います。これはガールスカウト(英語はBrownie)において「良い事をするとご褒美にバッジを与える」という状況から生まれたフレーズです。お菓子のブラウニーではなく、ガールスカウトだったのですね。

ちなみに小学校4年生の時に私はイギリスの学校へ転入したのですが、現地ではBrownieに所属している子がたくさんいました。ボーイスカウト発祥の地イギリスならではだったのかもしれません。


stretch a point (例外を認める)

Since you are our regular customer, I am stretching a point.  (常連客でいらっしゃるので、例外を認めます。)

stretch a pointは「例外を認める、譲歩する」という意味です。ちなみに「譲歩」を和英辞典で調べるとconcessioncompromiseが出てきます。concessionは「譲歩」の他にもイギリスでは「割引料金」という意味がありました。コンサートや美術館の入場料金にconcession表示があるのですが、そこに出ているOAPという文字がイギリスに暮らしていた頃気になりました。意味は「年金生活者(old age pensioner)」です。

一方、stretchを用いた表現にstretch the truthがあります。こちらは「大げさに言う」という意味。「真実を伸ばす」というあたり、何となくイメージが湧きあがりますよね。


sore point (弱点)

The opposing candidate touched on a sore point but she made a good rebuttal.  (対立候補は弱点を突いてきましたが、彼女は良い反論をしました。)

sore pointは「弱点、痛いところ」という意味です。調べたところ、当初はsore placeというフレーズだったそうで、初出は17世紀末とされています。さて、単語力アップとして私がお勧めするのが「類似表現探し」。たとえばここに出てくるsoreは「痛い」という意味ですよね。この「痛い」を他の英語表現で考えてみるのです。painfulachingなどがありますし、もし同時通訳中に「痛い」の英訳が瞬時に思いつかなければ、not comfortableなどと否定形で言うこともできます。日英のトレーニングをこうして日常的に意識してみると、実力向上につながります。


いかがでしたか?今回はpointを使ったフレーズをご紹介しました。ところで「ポイント」と聞いて思い出すのが「ポイントカード」。実は個人的に好きなのですが、お財布が膨らみすぎてしまい、今は厳選しています。なお、ポイントカードは和製英語です。イギリスにいたころはloyalty (あるいはclub, discount, rewardscardという表現が主流でした。最後にもう一つ。活字の大きさを示すptも「ポイント」のこと。興味のある方はこちらをどうぞ:
https://www.nik-prt.co.jp/surusuru/proud/complicated-the-size-of-letter-point/


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言、大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトで日本語訳・解説を担当。大学や企業での学習アドバイス経験多数。各種サイトでコラムも執筆中。

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