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ワンランクアップの英語表現

2024.05.07

スキルアップ

179回 「小包関連の用語から」

179回 「小包関連の用語から」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

私は子どものころから手紙を書くのが好きで、今でも友人や家族にしたためてはせっせと投函しています。季節のポストカードや切手などを選んでいるのが楽しく、時間がたつのを忘れるほど。旅先では「風景印(ふうけいいん)」も探し求めます。これは地元の名所旧跡などをデザインした特別な消印で、御朱印帳のごとく集めては旅の記念にしています。


一方、ちょっとした品物やお土産を送るのも好きで、家にある可愛い空き箱や紙袋などをセレクトしては梱包しています。ジャストサイズに収まると、なかなかの達成感(?)です。デジタルの時代ではありますが、こうしたアナログの手段は、そのプロセスが楽しいのですよね。

というわけで今月は「小包」にちなんだ単語を選びました。


part and parcel of … ~にとって必須のこと

Preparing thoroughly is part and parcel of being an interpreter. (徹底的に予習をすることは、通訳者にとって必須のことです。)

「~にとって必須のこと」「~のかなめ」を英語でpart and parcel of …と言います。このフレーズが誕生したのは15世紀。parcelは「小包」のことですが、ここでは法律用語の「分割された土地の一区画」という意味です。一方、partも「一部」という語義があり、実は昔の英語ではこうした韻を踏むフレーズが好まれたため、この表現が生まれたようです。

なお、parcel自体はラテン語のparticula(小さな部分)から来ています。あのparticular(特定の)と同じ語源です。

in a box ピンチに陥っている

Since he paid a huge amount for the house, he is now finding himself in a box. (莫大なお金を払って家を買ったため、彼は今、ピンチに陥っています。)

「ピンチに陥っている」を英語でin a boxと言います。確かに四角い箱の中に入ってしまえば、身動きが取れませんよね。そこから連想すると実にわかりやすい表現です。

ちなみに日本語の「ピンチ」は英語でpinchと綴りますが、オックスフォード新英英辞典で調べると、「つまむ、つねる」という動詞がメインであり、名詞では「つまむこと」「野球試合における重要な局面」という語義のみです。こうした違いも興味深いですよね。

think outside the box 既成概念にとらわれずに考える

In order to solve this problem, we need to think outside the box. (この問題を解決するために、私たちは既成概念にとらわれずに考える必要があります。)

think outside the boxは文字通り訳せば「箱の外で考える」となります。既成概念という「箱」があるのならば、その外に立って熟慮しよう、というニュアンスです。よく使われる英語表現で、私も通訳現場で何度も耳にしました。

ではoutsideがあるならinsideは?調べたらありました!inside-the-boxは「型にはまった」という意味で、inside-the-box-thinkingは「型にはまった考え方」です。

have …taped ~を完全に理解する

You can’t fool me.  I have you taped! (私をだますことはできないよ。あなたのこと、完全に理解しているから。)

「~を完全に理解する」は英語でhave … tapedと言います。これは主にイギリスで使われる略式表現です。tapeは「セロテープ、ガムテープ、磁気テープ、録音・録画テープ」など色々と名詞になっていますが、「テープでくくる」という動詞でも使われます。

ところで日本の場合、「セロテープ」と言いますが、イギリスではScotch tapeという名称で売られています。「ガムテープ」はpacking tape、「段ボール」はcardboard boxです。カタカナは英語でそのまま使えないこともあるので注意が必要です。

いかがでしたか?今月は「小包」関連の単語を用いて英語フレーズをご紹介しました。ちなみに「小包」からつい連想してしまうのが中華料理の小籠包(しょうろんぽう)!おいしいですよね。ずいぶん前に香港に旅行をした際、小籠包や蝦餃(ハーカウ。えび蒸し餃子)を堪能したことを思い出しています。

柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言、大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトで日本語訳・解説を担当。大学や企業での学習アドバイス経験多数。各種サイトでコラムも執筆中。

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