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ワンランクアップの英語表現

2024.11.01

スキルアップ

185回「『猫』を使った英語フレーズ」

185回「『猫』を使った英語フレーズ」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

アメリカ大統領選、ますます佳境になっていますよね。様々な出来事が見られた今回の戦いですが、中でもとりわけ注目を集めたのが共和党・副大統領候補であるJDヴァンス氏の発言です。民主党・ハリス副大統領のことを「子どものいない猫好きの女性」(childless cat ladies)と揶揄し、大きな反発を招きました。その後、民主党支持を宣言した歌手のテイラー・スウィフトさんは、インスタに猫を抱っこしている写真をアップしています。何かと「猫」が話題となっている今年の大統領選挙です。


そこで今月は「猫」を用いた表現を見てみましょう。


let the cat out of the bag 秘密を漏らす

Until the press conference, the members worked hard not to let the cat out of the bag(記者会見に臨むまで、メンバーは秘密を漏らすまいと努力しました。)

「秘密を漏らす」を英語でlet the cat out of the bagと言います。文字通り訳せば「猫を袋から出す」です。ではなぜこのような意味になったのでしょうか?実は決定的な語源の説明は無いのですが、一説によると昔の商取引に端を発するようです。当時は袋に子豚を入れて商人たちが売買していました。しかし子豚の代わりに猫を入れる詐欺商法もあったのです。そこからこのフレーズが誕生したもようです。

・・・でも子猫を入れていたら「ミャーミャー」鳴いているのが聞こえるのでは?

ついこのようなツッコミを私は入れたくなります(笑)。


Has the cat got your tongue? (どうして黙っているの?)

Are you alright?  Has the cat got your tongue? (大丈夫?どうして黙っているの?

「どうして黙っているの?」を英語でHas the cat got your tongue?と言います。これは恥ずかしがっている人に対して、黙っている理由を問うフレーズです。「猫に舌をとられたの?」という文章から連想すると何となくわかりますよね。ちなみに私の場合、「舌」と聞いて思い出すのは日本昔話の「舌切り雀」。ネットで調べたところ、”The Sparrow’s Tongue”というタイトルで英訳がありました。なじみのお話を英語で読んでみるのも楽しそうです。


like the cat that got the cream 大満足な様子

Last week, she bought a new car.  Now, she looks like the cat that got the cream. (先週彼女は新車を買いました。今や大満足な様子です。)

「大満足な様子」を英語でlike the cat that got the creamと言います。猫があの小さな舌でクリームをなめている様子を想像すると、とてもなごみますよね。こちらは主にイギリスで使われる表現なのに対し、アメリカではlike the cat that ate the canaryと言います。「カナリアを食べた」の方が獰猛な印象です。

ところでcreamと言えば、私の好物にシュークリームがあります。こちらは英語でcream puffです。「シュークリーム」自体はフランス語が語源で、chou à la crèmeと書きます。



see which way the cat jumps 成り行きを見る

Maybe we should wait a bit longer.  Let’s see which way the cat jumps. (もう少し待った方が良いかもしれませんよね。成り行きを見ることにしましょう。)

「成り行きを見る」を英語でsee which way the cat jumpsと言います。「猫がどちらの方向に跳ぶかを見極める」が文字通りの訳です。この表現がお目見えしたのは19世紀初頭のイギリスだそうで、宗教指導者が用いたと言われています。

https://wordhistories.net/2016/12/14/way-cat-jumps/



ところで「跳ぶ」にはjumpleapがあります。jumpは「地面から両足を浮かして空中へ跳ぶ」という時に使います。「跳ぶ動作そのもの」に力点を置くのに対し、leapは同じ「跳ぶ」でも「移動」に焦点が当てられます。たとえば「カエルが跳んだ」であれば、The frog leapedという具合です。なお、子どもの遊びに「馬とび」がありますよね。これは英語でleapfrogです。一方、日本語で「かえるとび」と言うと、地面に手をついてかえるのようにピョンと跳びます。何だかややこしいので、気になる方はぜひ「画像検索」で調べてみてください。


いかがでしたか?今月は「猫」を用いた英語フレーズを見てみました。ちなみに私は子どもの頃から猫が大好きなのですが、何しろ猫アレルギーがひどく、触るとたちどころに涙目になってしまいます。猫カフェで短時間愛でるのが精いっぱいです(涙)。




柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

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