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ワンランクアップの英語表現

2025.02.01

スキルアップ

188回「2月にちなんだ単語を使った英語フレーズ」

188回「2月にちなんだ単語を使った英語フレーズ」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

数年前から「日めくりカレンダー」を愛用しています。日付だけでなく、季節の行事や六曜、月の満ち欠けに格言も掲載。眺めるだけで楽しめます。こうしたことが「即、通訳に役立つ」というわけではありません。でも「塵も積もれば山となる」わけですので、知識が得られると嬉しくなります。


今月は2月。ですので2月の行事にちなんだ単語から英語表現を見てみましょう。


full of beans 元気いっぱいで

Our children are always full of beans.  They are so energetic. (うちの子どもたちはいつも元気いっぱいです。とてもエネルギッシュなのですよねえ。)

2月といえば節分の豆まき。ということで最初にご紹介するのはfull of beans。文字通り訳せば「豆でいっぱい」です。語源は「馬がエサの豆をたくさんたべて元気になることから」。馬といえばニンジンのイメージですが、ここでは豆(bean)なのです。

ところでbeanで私が真っ先に思い描くのが、あのイギリスのコメディ「Mr.ビーン」です。飛行機内のシートで個人スクリーンがまだ主流で無かったころのこと。機内前方スクリーンに「Mr.ビーン」の短編エピソードが放映されていました。乗客誰もが大笑い!目的地に着いた頃は誰もが笑顔で、異様な(?)連帯感がありました。



know how many beans make five 抜け目がない

He knows how many beans make five.  He always says good things to his manager! (彼は抜け目がないよね。いつも上司に良いことばかり言うのだもの!)

「抜け目がない」を英語でknow how many beans make fiveと言います。文字通り訳すと「豆の数を5個まで数えられる」です。「抜け目がない」「簡単には騙されない」「知恵がある」などの意味として主にイギリスで使われています。

なお、beanは「活力や豊穣の象徴」ではあるものの、略式表現では「つまらないもの」という正反対の語義もあります。先ほどの「Mr.ビーン」は架空の人物ではありますが、実際にBeanという名字の方も英語圏にはおられるのですよね。興味深いです。



rolled into one ひとまとめにされる

Since my birthday is on 14th February, I feel that my party and Valentine’s Day is rolled into one. (私の誕生日は2月14日なので、パーティーとバレンタインデーがひとまとめにされるような気がします。)

2月の人気アイテムと言えば「恵方巻」。巻きずしから連想してご紹介するのがrolled into oneです。文字通り訳せば「ひとつに丸め込まれた」ですが、ここでは「ひとまとめにされる」という意味で使われています。

ところでrollで思い出す「ロールケーキ」。英語ではSwiss rollと言います。もともとスイスで作られたお菓子であることからこの名前になりました。その後アメリカではjelly rollとして販売されていますが、日本では「ロールケーキ」ですよね。



like a ripe plum やすやすと

My rival got promoted like a ripe plum.  I couldn’t believe it. (私のライバルがやすやすと昇進したよ。信じられなかったね。)

「やすやすと」を英語でlike a ripe plumと言います。文字通り訳せば「まるで熟した梅のように」ですよね。2月の季語が「梅」なので、この表現を取り上げました。ただ、plumは英語圏の場合、「西洋スモモ」を指しますので、日本の「梅」とは異なるニュアンスになります。plumはバラ科スモモ類の果樹の総称で、pruneと語源は同じです。

ところでみなさん、花言葉はお好きですか?plumの花言葉は「忠節」。日本語の「梅」は「忍耐」「高潔」「忠実」です。寒さ厳しい2月でも梅の花が咲くことから「忍耐」という意味が込められているのですよね。



いかがでしたか?今月は2月の季節にちなんだ英語フレーズを見てみました。ところで「梅」で思い出したのが、イギリスに暮らしていた頃に読んだ英語の赤ちゃんの名付け事典。なんとUmekoがあったのです。意味は”plum-blossom child, patient”とありました。日本では近年、「~子」が付く女児名は珍しくなっていますが、英語圏ではむしろレアなのかもしれませんね。



柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

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