1. ホーム
  2. コラム
  3. 新着コラム
  4. 189回「桃の節句から連想する色を使った英語フレーズ」

ワンランクアップの英語表現

2025.03.01

スキルアップ

189回「桃の節句から連想する色を使った英語フレーズ」

189回「桃の節句から連想する色を使った英語フレーズ」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

我が家の日めくりカレンダー、先月の本稿でもご紹介しました。慌ただしい日々を過ごしていると、暦や季節行事も大切な節目になるのですよね。格言も書かれており、読むたびに身が引き締まります。と同時に、「この格言、英訳すると?」など、英語トレーニングにも活用しています。英語学習の素材は意外な所にあるのです。


さて、季節はあっという間に3月、もう春です。1年の6分の1が過ぎました。今回の本稿では3月・桃の節句から連想する「色」に注目し、その色を用いた英語表現を見てみましょう。


peaches and cream 順風満帆、素晴らしい

Life is not always peaches and cream, but it’s better to be optimistic! (人生はいつも順風満帆とは限らないけれど、楽観的でいる方が良いよね!)

peaches and creamは文字通り訳せば「桃とクリーム」。実際に存在するデザートで、スライスした桃にホイップクリームをかけて頂きます。また、「肌の血色が良い」「健康的な」という意味もあります。こうしたニュアンスから「欠点が無い」「順風満帆、素晴らしい」という語義になりました。

ところでイギリスで人気のデザートにpeach melba(ピーチ・メルバ)があります。これは桃のコンポートにアイスクリームとラズベリーソースを添えたもの。melbaはオーストラリアのオペラ歌手Nellie Melbaのことで、19世紀後半に彼女がロンドン公演をした際、ホテルの料理長を招待。料理長はそのお礼として、このレシピを考案しました。



in the pink 元気いっぱい、絶好調である

My son is always in the pink.  He is so energetic.  (うちの息子はいつも元気いっぱい。とてもエネルギッシュです。)

「元気いっぱい、絶好調である」を英語でin the pinkと言います。文字通り訳すと「ピンク色で」です。ただしこのフレーズの語源はいくつかあるようです。一つは「肌の色がピンクだと健康状態が良く見えるので、そこから生じた」というもの。もう一方は古英語のpynkで、こちらは「頂点(pinnacle, peak)」という意味。確かにどちらも当てはまるような気がしてきますよね。

「ピンク」で私が思い出したのが、数か月前に観た落語会。ゲストにお笑い芸人の「街裏ぴんく」さんが登壇されました。とにかく面白い話題で会場は大爆笑!ご本人の芸名の由来を調べたところ、いかつい風貌とのギャップを狙って可愛い色を選んだとのことです。



be tickled pink 捧腹絶倒する

We were all tickled pink to the comedy.  (私たちは皆、このコメディに捧腹絶倒しました。)

「捧腹絶倒する」は英語でbe tickled pinkです。この表現が誕生したのは20世紀初頭。人はくすぐられると笑ってしまい、顔がピンク色になることから生まれた表現です。

ところで「くすぐる」は英語でtickleという動詞を使いますが、”tickle tickle”とつなげた場合、「こちょこちょ」という擬態語として用いられます。一方、日本語の「こちょこちょ」は「こそばゆい」が語源です。


rub of the green 幸運

In life, you sometimes get the rub of the green. (人生では、幸運に恵まれることが時にはあります。)

「幸運」を英語でrub of the greenと言います。これは本来ゴルフ用語で、何かにボールが当たり、方向や位置が変わることを表します。ボールの向きが変わって有利になればラッキーですよね。そこから生じた表現です。

ところでgreenで私が連想するのは音楽の”Greensleeves”、イギリスの伝統民謡です。ちょっと悲しげなメロディが特徴的。都市伝説ではヘンリー8世が作ったとされていますが、実際はそうではなかった模様。なお、日本では電話のお待たせメロディとしてよく使われています。私の元英国人上司はこのことをとても不思議がっていました!



いかがでしたか?今月は桃の節句に出てくる桃色と緑色を用いた英語表現をご紹介しました。なお、ひな祭りの菱餅はもともと緑と白だけだったそうです。クチナシの実による色付けが導入された明治以降。そこから現在の3色になったそうです。



柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

この記事をシェアしませんか?

背景画像
背景画像

CONTACT

通訳、会議・イベント運営、
翻訳、人材派遣/紹介、
法人向け通訳・翻訳研修などに関するご相談は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。
お見積りも無料で承ります。