ワンランクアップの英語表現
2025.12.01
スキルアップ
第198回「-headedを用いた英語表現」
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
昔から私は「記念日」が好きで、よくカレンダーに注目しています。12月の暦を見たところ、12月13日は「美容室の日」だとか。由来は12月が繁忙期であること、数字の1と3を組み合わせるとBeautyのBに見えるからなのだそうです。なるほど!ちなみに私にとってのヘアサロン通いは癒しのひととき。特にシャンプー時に頭皮マッサージをしていただくと、日ごろの疲れもとれます。かけがえのない時間です。

今月は「頭」がキーワード。-headedを用いた英語表現のご紹介です。
1 hot-headed 短気な
Unfortunately, my dad has a hot-headed temper. I have to be careful. (残念ながら父は短期な性格なのよね。気を付けないと。)
「短気な」を英語でhot-headedと言います。文字通り訳すと「頭が熱い」という意味。短気な性格の場合、頭に血が上ってしまう様子がここからもわかります。ではhotがあるならcoldは?調べたところ、ハイ、ありました!「冷静な」という意味になります。こうして反対語を考えて都度調べると、語彙力アップにつながります。
ところでoverheadは「頭上、上空」のことですが、ビジネス用語では「経費」のことです。たとえばWe must reduce the overhead costs.は「経費を減らさなければいけない」という意味になります。
2 level-headed 落ち着いた
She was elected chairperson due to her level-headed approach to problems. (彼女は問題への対処が落ち着いていることから、会長に選ばれました。)
先ほど「冷静な」はcold-headedとご紹介しました。似た意味の「落ち着いた」でlevel-headedという表現もあります。この言い回しが誕生したのは1860年代。levelは「平らな」という意味で、「心が平らである=バランスがとれている」という様子を表しています。
ところで「問題」の英単語にはproblemやissueがあります。problemは「困った状況、解決せねばいけない課題」のこと。一方、issueは「争点、議論すべき問題」という意味です。こうしたニュアンスの違いも興味深いですよね。
3 square-headed 頑固な
My grandma is rather square-headed to try new technology. She is afraid of self-checkouts! (うちのおばあちゃん、新しいテクノロジーを使うことにかなり頑固なんですよね。セルフレジが怖いんだって。)
square-headedは「頑固な」という意味。新しいことに躊躇する頑なさを表しており、「頭が四角い」という様子から想像ができます。ちなみに「頑固な、融通の利かない」は他にもhard-headedがあります。
ところで日本語の「セルフレジ」は和製英語です。英語ではself-checkoutsと言います。ちなみにスーパー関連の和製英語は他にもあり、たとえば「レジ袋」はplastic bag、「ペットボトル」はplastic bottleです。つい片仮名が出そうになりますよね。
4 empty-headedうわべだけの
We must be careful of empty-headed information on social media. (SNS上のうわべだけの情報には気を付けねばいけません。)
「うわべだけの」を英語でempty-headedと言います。文字通り訳せば「頭の中が空っぽの」であり、「表面的な」「何も考えていない」という意味に繋がっています。一言で表すとsuperficialです。ちなみに「ざっくりと読んだ」などの場合はcursoryという語が使えます。
SNSはsocial networking serviceの頭文字。最近は日本語のニュースでも「トランプ大統領は自身のSNSに○○と書き込みました」との用法で使われます。英語ではこのような場合、SNSではなくsocial mediaとなります。ツイッターという社名やサービスがあったころは、tweetを動詞として使い、He tweeted ….などとして用いられました。その後、サービス名がXになってからは、He posted on X …のようにpostを使います。
いかがでしたか?今月はheadを用いた英語表現を取り上げてみました。ところで医学用語に出てくるcephalicも「頭」という意味。これはギリシャ語のkephale(頭)から来ています。コロナ禍のころ、新生児の「小頭症(microcephaly)」の危険が懸念されたことがありました。あれから数年たったものの、季節はいよいよ真冬へ。皆様も体調第一でお過ごしくださいね。
柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。
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