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ワンランクアップの英語表現

2011.06.20

スキルアップ

第25回「空に関連のある」英語表現

第25回「空に関連のある」英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

日本ではかつて子どもが悪いことをすると「おてんとうさまが見ているよ」と言って戒めていた時代がありました。日本語には他にも「雲をつかむような話」「雨が降ろうと槍が降ろうと」など、空や気象に関連した表現があります。英語ではどうでしょうか?早速見てみましょう。


1.You can go ahead with the project. As for the budget, the sky is the limit.(その計画を進めて良いですよ。予算に関しては上限なしです。)

The sky is the limitとは「(金額などで)制限がない、天井知らずである」という意味で、空に限りがないことから生まれました。この表現が頻繁に用いられるようになったのは、航空機が発明されて以降、つまり20世紀に入ってからです。1943年にはフレッド・アステア主演の同名の映画が製作されました。日本語タイトルは「青空に踊る」です。

2.Jason had to resign because he was under a cloud of suspicion.(ジェイソンは辞めなければなりませんでした。なぜなら疑いがかけられていたからです。)

under a cloud とは「疑われて」という意味です。ofの後に名詞が来ることもあり、上記例文はsuspicion(疑惑)という単語が伴っています。cloud(雲)はどちらかというとネガティブな表現で使われることが多いようです。他にもclouds on the horizon(問題がある)、cast a cloud over~(影を落とす)という意味でも使われています。

3.I have just heard that I will be promoted. I am over the moon!(たった今、昇進の話を聞いたの。とにかく嬉しいわ!)

over the moonとは口語表現で「大喜びして」という意味です。おもにイギリス英語で使われることが多いようです。とりわけ1970年代にはイギリスのサッカー・チームの監督が勝利を手にした際、この表現を好んで使ったと言われています。もともとはマザーグースの歌Hey diddle diddleの中の一節で、歌詞の一部にはThe cow jumped over the moonというフレーズがあります。

4.Our president made a speech and asked us to hitch our wagons to a star.(社長がスピーチを行い、大きな志を抱くよう私たちに述べました。)

hitch one’s wagon to a starとは「高邁な大志を抱く」という意味です。初めてこの表現を用いたのはアメリカの思想家エマソンで、「社会と孤独」と題する作品で使われました。直訳すれば「汝の幌馬車を星につなげ」であり、ただ単に地上だけで馬車を走らせるのではなく、永遠の可能性に向かって歩めというメッセージが込められています。

英語を学ぶ際には、ただ単に言葉の意味を辞書で調べるだけでなく、ぜひその背後にある「知識」の部分にも注目してください。それがやがてはみなさんの大きな「教養」となって蓄積されていくはずです。

 

柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。

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