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ワンランクアップの英語表現

2026.04.01

スキルアップ

第202回「holdを使った英語表現」

holdを使った英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

CNNの放送通訳現場ではたくさんの英語表現に遭遇します。ニュース本番中だけではありません。たとえばCMで流れる番組予告やCNNのブランド・プロモーション映像にも、刺さる英語がお目見えします。先日観たPR映像で私が一番気になったのはロシア担当のMatthew Chance記者。ロシアで拘束された米国人特派員に対して”You holding up alright?” と言葉をかけています。hold upというシンプルな表現。意味は「持ちこたえる」です。

そこで今月はholdを用いた英語フレーズを4つご紹介します。

1 hold up 持ちこたえる、耐える

I’ve heard that you had surgery.  How are you holding up?” (手術をしたと聞いたよ。なんとかやってるかな?)

hold upは「大変な状況ではあるが、耐えている」というニュアンスを有するフレーズです。一方、「主張が検証に耐える」という意味もあり、たとえばHer assertion did not hold up in the investigation.は「彼女の主張は調査では通用しなかった」となります。

ところでholdの活用はhold/held/heldですが、昔は、hold/held/holdenだったそうです。holdenと聞いて私が思い出すのがイギリスのオーディション番組Britain’s Got Talentの審査員Amanda Holdenさん。とにかく明るい安村さんが「はいてますよ」ネタで大絶賛された時のジャッジでした!

2 hold all the cards(優位に立つ)

In the promotion negotiation, our directors hold all the cards because there are so many talented staff here. (昇進の交渉では取締役陣が優位に立っています。なぜなら当社には優秀な人材が沢山いるからです。)

hold all the cardsは「主導権を握る、優位に立つ」という意味で、元は「トランプのカードをすべて持っている」という様子から来ています。有利なカードを持っていれば、相手の勝ち目はゼロになりますよね。ここで出てくるcardは「トランプ」のことです。ちなみに日本語では「トランプ」と言いますが、英語ではplaying cardsとなります。なお、日本語で「トランプ」という名称が使われる理由は、明治初期にさかのぼります。「切り札」「奥の手」を意味する英語はtrumpであり、当時日本にいた外国人がその言葉を用いていました。ところが、それを目撃した日本人が「カード=トランプ」と勘違いしたのですね。興味深い由来です。

ところでトランプ大統領の苗字Trumpは、トランプ氏の祖父がTrumpfというドイツ名から改名したもの。祖父は19世紀後半にアメリカへ移住したのですが、アメリカ社会になじむためにTrumpとスペルを修正したのでした。

3 hold one’s ground 信念を曲げない

Even though she was criticized, she held her ground. (批判されたにも関わらず、彼女は信念を曲げませんでした。)

hold one’s groundは「一歩も引かない、主張を曲げない」という意味です。文字通り訳せば「自分の足場を保つ」ですので、自分の土台の部分をしっかりと踏みしめている光景を思い描くと、ニュアンスが伝わってきますよね。

ところでgroundは「足元の地面」のことで、「建物内の床」に対して「外の」地面を表します。一方、earthは「命を育む土」、つまり自分の足元の「土のかたまり」です。

4 left holding the bag 押し付けられる

His business partner left the project so he was left holding the bag. (彼のビジネスパートナーがプロジェクトから離脱したため、彼は責任を押し付けられました。)

「責任や後始末を押し付けられる」を英語でleft holding the bagと言います。用法としては上記のように受け身で用いられるケースがほとんどです。文字通り訳せば、「バッグを持ったままにさせられる」ということ。由来を調べたところ、18世紀ごろの説が最有力だそうです。複数の窃盗犯が犯行をおこなった際、警察に見つかりそうになり、窃盗団は盗品の入った袋を仲間の一人に押し付け、逃走してしまったとのこと。逃げ切れなかった一人は袋を手にしたまま、仲間の分の罪も一人で負うことになったのでした。わかりやすい光景ですよね。

いかがでしたか?今月はholdを使った英語フレーズをご紹介しました。ところでholdで思い出すのが1981年にヒットしたElectric Light Orchestraの”Hold on Tight”という曲。日本でもCMに使われました。ぜひ動画サイトで調べてみてくださいね!


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

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