ワンランクアップの英語表現
2014.12.01
スキルアップ
第66回 光に関連する英語表現
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
クリスマスが近づいてくると街のイルミネーションが美しく輝き始めますよね。最近は節電を意識してLEDで照明を工夫しているところも増えています。

私は駅などに置いてあるフリーペーパーを読むのが好きなのですが、この季節になるとクリスマス・イルミネーション特集が取り上げられます。近場のライトアップを楽しむのも、寒い季節に心が温まりますよね。
そこで今回は「光」に関連した英語表現に注目してみましょう。光と言えばlightですが、他にどのようなフレーズがあるのでしょうか?
1.shed light on …
If you read this document, it will shed light on the author’s past.(この文書を読んでみると、作家の過去についてのヒントが明らかになりますよ。)
shed light on … は「ヒントを明らかにする」という意味です。謎や問題などを解明する際に役立つというニュアンスを含みます。shed は「(光や香りなどを)注ぐ」という意味があるのです。ちなみに shed の活用は shed/shed/shed です。辞書を引いた際にはぜひ活用も合わせて読むようにしましょう。そうすることで忘れかけていたことを再確認できます。
ちなみに shed には「不要なものを取り除く、捨てる」という意味もあります。He shed three kilos. は「彼は3キロ落とした」となり、「体重を減らす」という意味でも shed は使われます。
2.beacon
The new hospital will be a beacon of hope for the local people.(新しい病院は地元の人々にとって希望の光となることでしょう。)
「灯台」というと lighthouse が思い浮かびますが、beacon も「灯台」という意味です。厳密には「点滅する光で船などを導く灯台」を指します。例文の a beacon of hope は「希望の光」という語義です。beacon だけでも抽象的には「案内役、導き手」という意味を持ちます。
ところでアメリカのボストンには Beacon Hill という高級住宅街があります。植民地時代を思い起こさせる歴史的な建造物等が残る地域です。
一方、イギリスには zebra crossing という歩行者最優先の横断歩道があり、道路の両側に白黒のポールが立っています。その上の部分で点滅する黄色いライトが Belisha beacon です。これは1934年にイギリスの運輸相を務めた Leslie Hore-Belisha(レスリー・ホア=ベリシャ)の名前を冠したのだそうです。
3.lightning rod
He became a lightning rod for criticism. However, I think it was actually his boss that should take responsibility.(彼は身代わりとして批判を受けることとなりました。でも私としては彼の上司の方が責任を取るべきだと思いますね。)
lightning rod は「避雷針」という意味です。建物の上によく設置されていますよね。このことばは「避雷針」のほかにも「身代わりとして避難や攻撃を受ける人」という意味も持ちます。本来ならば他に避難すべき人がいる中、別の人があえて矢面に立たされている状況を表しています。
「避雷針」の lightning rod はアメリカ英語で、イギリスでは lightning conductor と言います。「雷」の lightning 自体は「神の怒りや力の象徴」というニュアンスを持つことも学習者向け英和辞典には書かれています。辞書を引いた際にはぜひニュアンスまで調べるようにしてくださいね。
4.illuminate
Could you please illuminate your idea and give me some examples? (いくつか例を出していただくことで、ご自身のお考えをご説明いただけますか?)
illuminate は「(電灯などが場所を)照らす」という意味で、本文冒頭のイルミネーション( illumination )の動詞にあたります。光束の単位「ルーメン」( lumen )も同じ語源です。また、神戸ではクリスマスの時期になると「神戸ルミナリエ」という祭典が開催されますが、luminarie はイタリア語でイルミネーションを意味します。
上記例文の illuminate は「問題点などを説明などで明らかにする、解明する」ということです。explain や clarify で置き換えても同じ意味になります。辞書を引くとこのように類語も出てきますので、そちらも合わせて読むようにすると単語力を大幅に増やすことができます。
ほんのひと手間をかけることが英語力アップにつながるのですね。
今回は「光」に関連したフレーズをご紹介しました。私はこの執筆をする際、ひとつのテーマを決めると、つい「反対語」の存在が気になってしまいます。「光」の反対語は「影」。では shadow を用いた英語表現にはどのようなものがあるのでしょうか?興味のある方はぜひご自分でも調べてみてくださいね。
柴原 早苗
放送通訳者、立教大学・獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。
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