ワンランクアップの英語表現
2013.03.01
スキルアップ
第45回 up toを使った句動詞
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
英語には動詞に前置詞をつけてまとまった意味を持つものを「句動詞」と言います。そこで今回はup toを動詞につけた表現をご紹介しましょう。

1. We hope that the government will live up to its promises. (政府が約束を実践することを私たちは願っています。)
live up to~は「~を実践する、(契約などを)履行する」という意味です。liveは中学校で習う単語ですが、前置詞によって多様な意味を持ちます。たとえばlive by~(~から収入を得る)、live on~(もっぱら~を食べる)、live with~(~と一緒に住む、~を我慢する)などです。簡単な単語プラス前置詞ほど、意味が分かりにくいこともあります。その都度辞書で確認するようにしましょう。
2.The student plays up to his teacher because he wants to get a good grade.(良い成績をおさめるため、その学生は先生にゴマをすっています。)
playも前置詞によって多様な意味を伴います。play up to ~は「~に対してゴマをする」という意味です。このフレーズは1800年ごろに誕生しました。「劇場で別の俳優を応援したり助けたりする」という意味だったそうです。ちなみにcurry favor with~も「~の機嫌を取る」という意味です。このcurryは「カレー」ではなく、「(なめし革)を仕上げる」です。
3.At last, I got up to the last chapter of this book.(ようやくこの本の最終章に進みました。)
get up to~は「~まで進む、追いつく」という意味です。ここではI reachedと言い換えることもできます。ちなみにupの反対にdownを使ってget down to~とすると「~に取りかかる」となります。たとえばLet’s get down to business.であれば、「仕事に取りかかろう」という意味になります。
4.You have got to stand up to your boss if you want him to treat you properly.(もしきちんと対応してほしいならば、上司に敢然と立ち向かわなければなりません。)
stand up to~は「(人や危険などに)敢然と立ち向かう」という意味です。ここではface up toと言い換えることもできますし、一言で言い表すならば、outfaceも可能です。なお、stand up to~は他にも「(検証、使用、熱など)に耐える」という意味でも使われます。
今回は句動詞を見てみました。英文を読む際、こうした表現が出てきたら、ぜひ辞書を引いて意味を確認してみてください。そのひと手間が蓄積となり、みなさんの英語力はぐんと飛躍するはずです。
柴原 早苗
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科兼任講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSE にて修士号取得。ロンドンのBBC ワールド勤務を経て現在はCNNj、CBS イブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC 英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。
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