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ワンランクアップの英語表現

2021.03.02

スキルアップ

第141回 「春の予感がする語を使った英語表現」

第141回 「春の予感がする語を使った英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

 

イギリス大好きを公言している私ですが、在英中どうしても馴染めなかったことがあります。それは「冬の長さ」です。イギリスは8月下旬になるとすでに落葉が始まり、どんどん日照時間が短くなるのですね。冬の間はほとんどお日様が見られず、本当に気が滅入りました。それゆえかイギリスでは冬になると多くの人々がスペインやポルトガルなどのビーチへ出かけます。少しでも太陽を浴びたいからなのでしょうね。


一方、年が明けて2月を過ぎると少しずつ春の気配が感じられるようになります。クロッカスや水仙が咲き始め、日照時間も伸びてくるのです。やっと春が来たと毎年安堵したことを思い出します。


今月は春の予感がする単語を用いたフレーズを見ていきましょう。


take a leaf out of one’s book (見習う、まねる)

If you want to improve your skills, you should take a leaf out of her book since she is very good at it. (もし自分の技を向上させたいなら、彼女を見習うと良いよ。彼女はそれがとても上手だから。)

「見習う、まねる」を英語ではtake a leaf out of one’s bookと言います。ここでのleafは葉っぱそのものと言うよりも、「(書物の)紙葉一枚」という意味です。本にはためになることが沢山書かれていますよね。それを知ることは自分にとって良きことですので、それを模範にしましょうという状況から生まれたフレーズです。

ところで「まねる」にはcopyという単語がありますよね。子どものころに通っていたイギリスの小学校では「まねっこする人」をcopycatと言っていました。口語表現です。


nip … in the bud (~を初期に食い止める、未然に防ぐ)

The police wanted to nip the insurrection in the bud, so they arrested the gang leader. (警察は暴動を未然に防ぎたかったため、ギャングリーダーを逮捕しました。)

budは「芽、つぼみ」のことで、nip … in the budは「未然に防ぐ」という意味です。日本語でも「芽を摘む」と言いますよね。なお、上記例文に出てくるinsurrectionは政府などに対する「反乱、暴動」のことです。1月にアメリカで起きた議事堂乱入事件のニュースではinsurrectionという語が使われていました。

ちなみにbudは辞書を引くと他にも「未熟な人、子ども、未成年」という意味があります。「芽吹く」という動詞でも使うことができます。


a bed of roses (楽な状況、安楽な境遇)

My life was not a bed of roses, but I was blessed with so many friends. (私の人生は楽な状況ではありませんでしたが、たくさんの友人に恵まれました。)

「楽な状況」を英語でa bed of rosesと言います。文字通り訳せば「バラを敷き詰めたベッド」のことですよね。確かにベッドの上にバラが沢山あれば、それだけでゴージャスな気分になります。私がこのフレーズに初めて出会ったのは、Queen”We are the Champions”という曲でした。“But it’s been no bed of roses”とあります。名曲ですのでおそらく誰もが一度は耳にしたことがあると思います。


The bloom is off the rose. (ピークを過ぎてしまった。)

People were so keen on buying houses but now, the bloom is off the rose(人々は住宅購入にとても関心を抱いていましたが、今やピークを過ぎてしまいました。)

この例文でもroseが使われています。bloomとは「観賞用植物の花、花盛り」と言った意味があります。要は「バラの花盛りが終わってしまった」ということなのですね。そこから転じて「ピークを過ぎてしまった」という意味になっています。思い起こせば日本もバブルの頃、多くの企業や個人が不動産購入に躍起になっていました。今やそのピークも過ぎ、1990年代初頭からは「失われた10年」と呼ばれています。

ところでbloomから思い出すのが南アフリカにあるBloemfontein(ブルームフォンテーン)という街です。私は子どもの頃から地図を見るのが好きで、たとえその場所へ旅行することができなくても、地図を眺めるだけで旅気分を味わっていました。ブルームフォンテーンはオランダ語およびアフリカーンス語で「花咲く泉」という意味です。南アは行政府(プレトリア)、国会(ケープタウン)、最高裁(ブルームフォンテーン)と首都機能が3つの都市にあります。

いかがでしたか?今月は春の兆しを感じられるような単語から英語表現をご紹介しました。寒かった冬も少しずつ終わり、いよいよ春の到来です。希望を持って日々を過ごしていきたいと思います。


柴原 早苗
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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