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ワンランクアップの英語表現

2023.10.03

スキルアップ

 第172回 「tableを使った英語表現」

 第172回 「tableを使った英語表現」

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

この数年間、オンラインでスポーツクラブのレッスンを受けています。中でもハマったのがヨガ。自宅にいながらのんびりじっくり体を緩められるのが良いですよね。わずか30分でもしっかりと効果を感じられます。ヨガには様々なポーズがあるのですが、その名称も「キャット&カウ」「ウォーリア」「ベビーコブラ」など英語が出てきます。とりわけ「なるほど!」と思ったのが「テーブルトップ」。こちらは身体をあおむけにして手足で支えるポーズです。まさに「テーブル」の表面のような動作なのですね。


今月はtableを使った英語フレーズをご紹介します。


on the table 検討中で

Has our president accepted the offer?” “No. It is still on the table.” (「社長はオファーを受け入れたのかしら?」「いや、まだ検討中よ。」)

「検討中で」を英語でon the tableと言います。提案や企画など、まだ検討が続いている状況を想像すると、確かに計画書などがテーブルの上に載ったままの光景が思い浮かびますよね。

ところでtableの初出は12世紀以前で、ラテン語から来ています。tabula(平たい板)が語源です。今や欠かせない「タブレット端末」のtabletも同じです。タブレット端末がお目見えする前の時代は、tabletと聞けば薬の「錠剤」が主たる意味でした。


turn the tables 局面を逆転させる

The workers completed the strike and turned the tables. (労働者たちはストライキを完了し、局面を逆転させました。

英語で「局面を逆転させる」をturn the tablesと言います。まさに「形勢逆転」のことです。この由来はボードゲームのバックギャモン。いわゆる西洋のすごろくです。テーブルを回転させれば勝ち負けも逆さになる、という状況から来ています。


set the table in a roar 一同を大笑いさせる

She always sets the table in a roar. (彼女はいつも一同を大笑いさせます。)

set the table in a roarは「一同を大笑いさせる」という意味です。roarは辞書を引くと「大笑いする、とどろく、怒鳴る」など複数の語義があるのですが、set the table in a roarは「大笑い」のニュアンスなのですね。そう言えばケイティ・ペリーのヒットソングに”Roar”がありましたが、調べたところ10年も前の曲でした。月日の流れは本当に速いです!

ところで私は一つの単語に出会うと、違うアルファベットを入れ替えて「遊ぶ」ことがあります。たとえばroarであれば、boar(雄豚)、hoar(霜)、soar(空高く舞い上がる)という具合。aからzまで一つずつ入れながら辞書を引いていくのです。ちなみに最後のZoarは聖書の創世記に出てくる街の名前「ゾアル」でした。


put all one’s cards on the table 計画を率直に話す

Our CEO has put all his cards on the table.  Fortunately, the negotiations came to a fruition. 
(わが社のCEOは計画を率直に話しました。幸いなことに交渉は実を結びました。)

「計画を率直に話す」を英語でput all one’s cards on the tableと言います。文字通り訳せば「すべてのカードをテーブルの上に載せる」です。要は「手の内を明かすこと、あらゆることをさらけ出す」という様子を表しているのですね。上記の例文1同様、ここでも「テーブルの上」が出てくるのが興味深いところです。

ところでCEOChief Executive Officer(最高経営責任者)ですが、他にもCOO (Chief Operating Officer最高執行責任者)、CFO (Chief Financial Officer最高財務責任者)、CMO (Chief Marketing Officer最高マーケティング責任者)、CSO (Chief Strategy Officer 最高戦略責任者)などがあります。


今月はtableを用いた英語フレーズをご紹介しました。ところで幼少期に暮らしていたイギリスの私の家にはアンティークのnest tableがありました。ネストテーブルとは大きさの違う3つほどのテーブルが入れ子式になっているもの。使わないときはひとまとめにしてコンパクトになり、必要に応じて出して使えるのが便利でした。

少しずつ暑さも和らいできましたね。ベランダのテーブルでブランチを味わいたい、そんな季節の到来です!


柴原 早苗
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言、大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトで日本語訳・解説を担当。大学や企業での学習アドバイス経験多数。各種サイトでコラムも執筆中。

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