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ワンランクアップの英語表現

2026.05.01

スキルアップ

第203回「4文字の頭字語」

4文字の頭字語

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

今から数週間前のこと。アメリカのトランプ大統領がイラン攻撃についていわゆるfour-letter wordを自身のSNSに書き込みました。CNNニュースでは、画面にその文言を表した際には伏字にしていました。私たち放送通訳者もこうした罵倒語の通訳は放送法に抵触しかねないだけに、慎重になります。

さて、このfour-letter wordですが、これは罵倒語の多くが4文字から成り立つため、そう呼ばれるようになったのですね。こうした言葉は相手の人格を否定したり、場の空気を非常に険悪にしたりするため、非常に忌避されています。

さて、今月のタイトルは「4文字アクロニム」。同じ「4文字」でも、こちらは本当に4つのアルファベットからなる表現です。早速見てみましょう。

1 YOLO 人生は一度切り

I’ve decided to travel around the world. YOLO, isn’t it? (世界一周旅行をするって決めたよ。人生一度切りだものね?)

YOLO“You Only Live Once”、つまり「人生一度切り」という意味です。カジュアルな表現ですので、友人や家族の間で使われますが、ビジネスや年上の方に対して使うことは控えると良いでしょう。用法としては、イイタイコトを言ったあとでYOLOを付け加える感じです。発音は「ヨウロウ」です。

ところで昭和の高度経済成長期にヨーヨー(yoyo)が大ブームになりました。こちらの語源はフィリピンから来たのだそうです。アメリカに移住したフィリピン移民がフィリピンのイロカノ語の「戻ってくる」という意味で名付けたという説が有力とされています。

2 GOAT 史上最高

Have you watched the winter Olympics?I think Rikuryu are the GOAT.(冬季五輪、見ましたか?りくりゅうが史上最高だと私は思うんですよね。)

GOAT”Greatest Of All Time”、「史上最高」という意味です。ミラノ・コルティナ五輪ではフィギュアスケートの「りくりゅう」が感動的な演技を見せてくれましたよね。まさに「史上最高」と言うのにふさわしい内容でした。ちなみにGOATはSNSでヤギの絵文字一つだけで表されることもあります。GOATの発音は「ゴート」です。

なお、ヤギの雌はdoeで、シカの雌もdoeと言います。あの「ドレミの歌」の英語歌詞で最初に出てくるのが”Doe, a deer, a female deer”です。

3 NIMBY 住民による反対

The new railway project faced a lot of NIMBY opposition from local people. (新しい鉄道計画は、地元の住民から多くの反対運動に直面しました。)

NIMBY”Not In My BackYard”の頭文字から来ており、文字通り訳せば「うちの裏庭はやめて」となります。公共施設などの必要性は理解しつつも、「うちの近所だけは勘弁」というニュアンスです。発音は「ニンビー」です。

ところで「庭」はアメリカ英語ならyard、イギリス英語はgardenです。感覚としては、yardの場合は家の周りの空間を指し、gardenは花や野菜などを植えて手入れされた「庭園」を意味します。

4 FOMO 取り残されている感覚

The newscaster asked the former astronaut whether he has a FOMO after seeing the success of Artemis II. (ニュースキャスターはアルテミス2号の成功を見て、元宇宙飛行士に取り残されている感覚があるか尋ねました。)

FOMO”Fear Of Missing Out”の頭文字で、「取り残されている感覚、見逃すことへの不安」と訳せます。上記例文は過日、地球に無事帰還したアルテミスIIのCNNニュースで実際に出てきた表現。ちょうど私が同時通訳をしていた際、このFOMOが出てきたのでした。初めて聞く表現だったので一瞬戸惑いましたが、前後の文脈から類推して「いいなあ、と思う感情」と訳しました。なお、発音は「フォーモー」です。

ちなみにmissを使った他の句動詞ではmiss the boat(好機を逃す)、miss the point(要点を外す)などがあります。一方、fear(恐怖)の類語にはdread(これから起こる事への気の恐れ)、fright(何かに驚かされたことによる怖さ)などがあります。

いかがでしたか?今月は4文字頭文字の英語表現をご紹介しました。「頭字語」はacronymで、acro-は「頂点」、-onymは「言葉」です。


柴原 早苗
会議通訳者・放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。学生時代から通訳技法を学ぶ。ロンドン大学LSEにて社会行政学修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。報道現場では米大統領選挙、スポーツ、ビジネス、医学、芸能など幅広いニュースの同時通訳を担当。映画「謝罪の王様」(2013年/脚本・宮藤官九郎/主演・阿部サダヲ/監督・水田伸生)に放送通訳者役として出演。

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