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ワンランクアップの英語表現

2026.09.01

スキルアップ

第207回「数字の7と9を用いた英語表現」

「数字の7と9を用いた英語表現」柴原早苗先生のワンランクアップの英語表現

アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗

幼少期に暮らしていたイギリスでのこと。現地校での第二外国語はフランス語でした。当時の私はまだ英語もおぼつかなかったのですが、フランス語は英語によく似ていると感じました。たとえば辞書(dictionary)はdictionnaire、数字の3 (three)はフランス語でtrois、7 (seven)はseptという具合。ところで英語の9月はなぜSeptemberなのでしょうか?実は古代ローマの暦では3月が年の始め。そこから数え始めて「7番目」であったことからSeptemberとなったのでした。

今月は数字の7と9を用いた英語表現を見ていきましょう。

At sixes and sevens (混乱状態に陥る)

After the competitor’s sudden announcement about the merger, we were at sixes and sevens. (競合他社が突然合併を発表した後、私たちは混乱状態に陥りました。)

at sixes and sevens は「混乱状態に陥る」という意味です。文字通り訳せば「6と7の状態にある」で、一見不思議なフレーズですよね。実はこの表現、中世のロンドンで生まれたもので、当時、二つのギルドが順位をめぐり大論争になったとのこと。そこで裁判所が仕方なく「6位と7位」という判決を下したのだそうです。そこから「混乱状態になる」という様子を表すようになりました。ただ、調べてみるともう一つの語源もあるようで、中世のサイコロ遊びからという説も見つかりました。ちなみにイギリス英語ではおやつのことをElevensesと言います。これは午前11時におやつを食べることから来ています。

in seventh heaven (最高に幸せである)

When she heard that she was promoted, she was in seventh heaven. (昇進したと聞き、彼女は最高に幸せになりました。)

in seventh heavenは「最高に幸せである」という意味。これは古代の宗教や天文学の思想から来たフレーズで、「数字が増えるほど神聖な場所」という考えから生まれています。7層目の天には神や天使たちが暮らしていると思われていたのです。ちなみに同様の意味ではon cloud nineも「最高に幸せ」という意味です。こちらも「非常に高い層にある雲」を指すことから来ています。なお、「クラウドストレージ」はcloudですが、「クラウドファンディング」は不特定多数が資金を提供することから、crowdを使います。ちょっとややこしいですよね。

A nine days’ wonder (ほんのつかの間の話題)

The artist’s scandal was a nine days’ wonder.  No one was mentioning it after a few weeks.  (アーティストのスキャンダルはほんのつかの間の話題に過ぎませんでした。誰も数週間後には口にしなくなっていましたね。)

a nine days’ wonderは「ほんのつかの間の話題」という意味です。由来は14世紀のイギリスで、チョーサーの作品「トロイルスとクリセイデ」というトロイ戦争をテーマにした文学から生まれたのだそうです。なお、日本語でも「人の噂も七十五日(しちじゅうごにち)」があります。こちらは昔の日本において、一つの季節がおおよそ75日であることから生まれています。ワンシーズンもたてば噂も収まる、というわけです。

dressed to the nines(とびきりのおしゃれをする)

He was dressed to the nines for the banquet. (彼は晩さん会のために、とびきりのおしゃれをしていました。)

dressed to the ninesは「めかし込む、とびきりのおしゃれをする」という意味です。元はスコットランドの表現to the nines(最高級の)から来ているそうです。その後19世紀半ばになり、dressed to the ninesというフレーズになりました。なお、確証はとれていないものの、有力な説としてはスーツの仕立て時に9ヤードの布を使った、というものもあります。

ところでbanquet(晩さん会)で思い出したのが、有名ホテルの宴会場名称として使われる「鳳凰(ほうおう)」です。「鳳凰」は中国の伝説の鳥であり、おめでたい出来事の前兆と言われています。他にも「瑞雲(ずいうん)=めでたい印の雲」などがあります。ちなみに鳳凰は英語でphoenix。アリゾナ州の州都Phoenixの英語発音は「フィーニクス」です。

いかがでしたか?今月は7と9を使ったフレーズを見てみました。私は地図が好きなので、早速この数字を使った地名をリサーチ。九十九里浜、九州、七里ガ浜、七条などがありました。一方、苗字の「七五三」は「しめ」さん、「九十九」は「つくも」さんと読みます。数字、奥が深いです!

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柴原 早苗
会議通訳者・放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。学生時代から通訳技法を学ぶ。ロンドン大学LSEにて社会行政学修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。報道現場では米大統領選挙、スポーツ、ビジネス、医学、芸能など幅広いニュースの同時通訳を担当。映画「謝罪の王様」(2013年/脚本・宮藤官九郎/主演・阿部サダヲ/監督・水田伸生)に放送通訳者役として出演。

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