ワンランクアップの英語表現
2026.06.02
スキルアップ
第204回「雨にちなんだ英語表現」
アイ・エス・エス・インスティテュート 英語通訳者養成コース講師 柴原早苗
GWが開けると7月まで何と日本の祝日はゼロ!新入社員や新入生のみならず、長期休暇を取った社会人にとって、この時期はなかなかハードですよね。何しろ梅雨は始まるし、日によっては蒸し暑い日があるからです。でも、大事なのは嘆くよりこの時期を味わうこと。私は雨になるとお気に入りのブーツや傘を取り出し、雨粒の音に耳を傾けるのが大好き。楽しんだもの勝ちです。

そして雨の日こそ英語学習には最適!今月は雨にちなんだフレーズのご紹介です。
1 take a rain check (またの機会に)
Thank you for inviting me to the party but I’m afraid I have another engagement. Can I take a rain check? (パーティーに誘ってくれてありがとう。でも他の予定があるの。またの機会にお願いできる?)
take a rain check は「またの機会に」という意味です。これは元々アメリカのプロ野球から来た表現です。雨で順延になった際、「次の試合を見られる引換券」をrain checkと言ったのですね。以来、「またの機会に」という意味になりました。
ちなみにcheckは「小切手」という意味もありますが、イギリス英語の場合はchequeというスペルです。これはイギリスがかつてフランス語の影響を受けており、上流階級の間でフランス語綴りが好まれたからです。centreやcolour, catalogueも同様にフランス語のスペルを意識。興味深いですよね。
2 steal someone’s thunder (注目をさらう)
I don’t mean to steal your thunder but actually, I am quite good at painting too. (あなたから注目をさらうつもりはないけれど、実は私も絵を描くのが結構得意なんですよね。)
steal someone’s thunderは「注目をさらう」という意味です。18世紀のイギリス人劇作家ジョン・デニスは自分の作中で雷を演出として使いました。しかし、この効果音を別の劇で利用されてしまったのです。それに憤慨したデニスが”They stole my thunder!” と言ったのがこのフレーズの成り立ちです。
ところで恐竜のブロントサウルス(brontosaur)は別名thunder lizardとも言います。日本語の別名も「雷竜」、bronto-の語源はギリシャ語bronteで「雷」のこと。イギリスの作家エミリー・ブロンテ(Emily Bronte)の苗字も同じ語源だそうです。
3 right as rain(すっかり元気になって)
It’s good to be back in the office after a week in the hospital. Now, I am right as rain. (一週間の入院を経てオフィスに戻れてうれしいです。今はすっかり元気です。)
right as rainは「すっかり元気になって」という意味です。この由来はいくつかあるのですが、一つは「雨のように一直線に降る→本来あるべき状態→健康」という説。もう一つはイギリスのように雨がよく降る場所では「降雨=正しい(right)姿」という説です。他にもいくつかありますので、気になる方は調べてみてくださいね。
ところでrainを「ランダムハウス英和大辞典」で調べたところ、「直径0.5ミリ以上の水滴」とありました!それ以下のサイズはdrizzleと言います。気象学の世界では使い分けがなされているのですよね。
4 let up (一息つく)
Glad that we were able to finish the project. We can now let up and go home. (プロジェクトが終えられて良かった。これで一息ついて家に帰れます。)
let upは句動詞で「一息つく」とここでは訳せますが、他にも「雨が弱まる、やむ」という意味もあります。空に広がっていた雲が「緩んで(let)」、「上へ消えていく(up)」という様子を表しています。We should wait for the rain to let up(雨がやむまで待つべきだ)という感じで使えるのですよね。ところで「一息つく、休憩をとる」はhave a breakとも言います。有名な某チョコレートのキャッチフレーズにもありますよね。
いかがでしたか?今月は雨から連想するフレーズを見てみました。ところで上記でご紹介した「句動詞」。句動詞とは基本的な動詞に前置詞が付くことで、元の動詞からはかけ離れた意味になるフレーズのことです。たとえばget一つ見てみても、get over (克服する)、get along with (仲良くする)、get by (どうにか切り抜ける)などあります。getなどに関しては、アメリカ大使館でかつて同時通訳を務めた松本道弘先生の「GetとGiveだけで英語は通じる」(講談社+α文庫、2002年)が名著として読み継がれています。私は学生時代、松本先生の私塾「弘道館」に通っていたのですが、実に学びの多い英語塾でした。
柴原 早苗
会議通訳者・放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。学生時代から通訳技法を学ぶ。ロンドン大学LSEにて社会行政学修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。報道現場では米大統領選挙、スポーツ、ビジネス、医学、芸能など幅広いニュースの同時通訳を担当。映画「謝罪の王様」(2013年/脚本・宮藤官九郎/主演・阿部サダヲ/監督・水田伸生)に放送通訳者役として出演。
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